リオ市北部で20日、コマンド・ヴェルメーリョと思しきグループが3カ所の三つの治安維持警察部隊(UPP)を襲い、ファヴェーラの一つでは停電も発生した。これを受けて開かれた保安関係者との会議の結果、セルジオ・カブラル知事は21日に軍の派遣を要請するためにブラジリアに出かけたと21日付伯字紙やアジェンシア・ブラジルなどが報じた。
最初に襲われたマンギーニョスのUPPでは20日午後6時半頃、無人ビルに不法侵入したグループに対して出ていた退去命令を実行に移すために派遣されたUPP所属の軍警らに、侵入者達が投石で抵抗。軍警がケガをした事もあり、突撃隊も派遣された。
この混乱に乗じ、7時頃、コマンド・ヴェルメーリョに属する麻薬密売者らが軍警や同地区のUPPの基地を攻撃し、銃撃戦が始まった。銃撃戦では、UPP司令官のガブリエル・デ・トレド大尉が右腿に被弾、21日未明に手術を受けた。
密売者らがUPP基地として使用していたコンテナ5基に放火して電線が焼けたため、13のコミュニティからなるファヴェーラの一部は停電となった。現場近くを走る電車サラクラナ線は銃撃戦の影響で午後7時から運行停止となり、10時頃になってやっと運行が正常化。レオポルド・ブリョンエス大通りも一時、通行禁止となった。
リンス・デ・ヴァスコンセロス地区では、カマリスタ―メイエルのUPPが銃撃されたが、ケガ人は出なかった。
アレモン地区のUPPも襲われ、銃撃戦で密売者2人が被弾したが、1人は逃亡、もう1人は逮捕された。
事態を深刻に受け止めたカブラル知事は同夜、UPP撤廃はありえず、犯罪組織の暴力には屈しないと明言した上でベルトラメ保安局長や軍警、市警の司令官らと緊急会議を開き、21日未明にジウマ大統領に軍の支援を仰ぐとの意向を表明した。同知事は21日11時にブラジリアで大統領や関係閣僚と会い、陸軍または治安部隊の派遣を請うた。
連警や海軍、陸軍の諜報機関は先週、麻薬密売者らが警察署やUPPの襲撃を計画していると警告しており、今回のUPP襲撃は刑務所にいるコマンド・ヴェルメーリョ幹部達の命令だという。
UPP襲撃のあった地区の警備は21日朝から強化され、軍警、市警は当面、休日返上で、軍警のBopeや市警のCoreなどの特殊作戦部隊も警備に加わっている。