ニッケイ新聞 2013年5月14日
最近の地下鉄やバスの中では携帯電話の画面上で指を滑らせたり、必死に何か打ち込んだりしている姿をよく見かける。1人で複数の携帯電話を持つ人も増え、イヤホンをはめて街中を歩く人も頻繁に目にする。イヤホンに関しては、携帯電話以外にも、ラジオやMP3、MP4を使っている例もある▼着伯直後、生後8カ月頃だった長女にかけた上着が落ちそうだと姿勢を変えた途端に、母の形見のネックレスをひったくられた経験のあるコラム子には、ある意味で信じられない光景だ▼地下鉄やCPTMの中では、携帯電話やイヤホンも含む窃盗事件が日に何件も起きているのだから治安がよくなったともいい難いが、携帯電話や回線は盗まれたと通報すれば使用不能に出来るから、窃盗犯にも魅力がなくなったのか▼様々な機能やソフトが入った携帯電話ほど手放せないという人が多いようだ。電話をかけたり受けたりするだけではなく、ラジオを聴いたりインターネットにアクセスしたり、果てはゲームに熱中したり▼サンパウロ市では、10月から無料でインターネットにアクセスできるWi—Fiが使える場所を120カ所設けるとのニュースも流れた。こういった光景を見るにつけて考えるのは、便利になるのはいいが、自分の時間や何かを考える時間はどこへ行くのかという事だ▼地下鉄やバスの中、家に帰ってもフェイスブックなどでメッセージ交換やゲームに熱中している人を見る。技術の発展はじっくり考えたり体と精神を休める時間を奪っていると思うのは、現代病に冒され始めた子供が気になる学校教師や頭の固い親だけか? 最後は本人の自覚次第だが。(み)