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同性愛婚全国で可能に=国家法務審議会が新判断=「法制化の必要」訴える声も

ニッケイ新聞 2013年5月16日

 国家法務審議会(CNJ)が14日、全国の登記所に同性愛者同士の〃結婚〃を認めることを義務付け、同性愛者同士のカップルに異性愛者同士の夫婦同様の権利を与えることを認めた。15日付伯字紙が報じている。
 ブラジルでは2011年5月、連邦最高裁が〃安定した関係(ウニオン・エスターヴェル)〃という言葉で同性愛者同士の家庭の存在を認め、養子縁組や扶養義務(ペンソン)、遺産相続などに関しても通常の結婚同様の権利と義務を認める判決を下した。両者の関係は一定期間の共同生活を経て認められ、個々人の立場は独身者のままで、既婚者とはみなさない。
 また、同年11月には高等裁判所が、最高裁の判断に従う形で同性愛者の結婚(カザメント)を認める判決を下した。それに従い、サンパウロ州など13州と連邦直轄区の登記所では同性愛者同士のカザメント・シヴィル(戸籍上の婚姻)を認めていたが、残る13州は同性愛婚についての法律がないとして、正式な結婚と認めてこなかった。
 CNJは14日に同性愛婚について投票し、14—1の大差で同性愛者同士の結婚を認めた。これにより、全国の登記所では同性愛者同士の結婚の受付けが義務付けられ、守らない場合は罰則が適用される。11年の最高裁判断が認めた遺産相続権などのほか、相手の苗字を加えることや離婚も認められる。
 この問題を提案したCNJ議長でもあるジョアキン・バルボーザ最高裁長官は、11年の最高裁判決に基づく決定で、「同性愛婚の法律がないからといって、最高裁が憲法に反する手抜かりを見逃すような手落ちを起こすことはない」とし「法廷では差別や抑圧、言論を封じるものは認められない」と語った。
 サンパウロ市ゲイ・パレードのフェルナンド・クアレズマ会長は、「法の下では皆平等という原則において、司法がまた立法の先を行った」と語った。ブラジルは同性愛婚を認めた世界で15番目の国となるが、フランスやポルトガル、アルゼンチンなどは議会が中心になって同性愛婚を認めてきた。
 今回のCNJの決定には反論もある。唯一反対票を投じたマリア・クリスチーナ・ペドゥッシ氏は「議会が同性愛婚に関する法令を承認する必要がある」と語っている。
 最高裁内では、ジルマル・メンデス判事やリカルド・レヴァンドウスキー副長官が、11年の最高裁判断は「同性愛者同士の家庭の存在を認めただけ」とし、同性愛婚にまつわる諸規定は議会で法制化するか、もう一度最高裁で審議するべきだとしている。これについてバルボーザ長官は、「最高裁が決めたことを有効化するために議会が法令を承認しなければならないなんてばかげている」と答えている。