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今年度予算R$280億カット=現政権で最低に抑える=税収減少に対応するため=経常収支の赤字も拡大中

ニッケイ新聞 2013年5月24日

 連邦政府が22日、今年の予算カットは280億レアルと発表したと23日付伯字紙が報じた。現政権では、11年に500億レアル、12年も550億レアルの予算をカットしたが、インフレ懸念が進む今年度の予算カットは両年と比べ、大幅に縮小している。

 5月の通貨政策委員会(Copom)で経済基本金利(Selic)の再引き上げが確実視されている中、連邦政府が予算カット額を280億レアルに止め、国内総生産(GDP)の19・2%相当の9380億レアルを支出する事とした。
 11、12年は2月に発表された予算カット額が5月になって発表されたのは、税収実態を見極めるためで、より大幅なカットとするか否かで割れていた政府内も、カット額を抑え、投資と消費の促進を図る方向でまとまったようだ。
 11年の経済成長は年2・7%、12年も0・9%で終わったジウマ政権にとり、経済成長目標を4月に4・5%から3・5%に下方修正した事自体、不本意だったはずだが、市場では3%以下との予想まで出始めており、何としても流れを変えたいところだ。
 そういう意味で、22日発表の予算カット額が大幅に縮小され、政府支出を過去最高の9380億レアルに保持した事は、景気回復への意気込みの表れといえる。
 今年の予算は、経済活性化計画(PAC)や減税処置の補填分などで652億レアルまでの調整が可能だったが、実際には公共投資などを可能とするため280億レアルの調整に止まった。教育と保健、社会開発・飢餓対策、科学技術の4省庁は予算カットを避けた一方、議員割り当て金は50億レアル削られ92億レアルに縮小。政府支出額とは別に、州や市への交付金も203億レアル削られた。
 一方、経済成長率やインフレ率などが予算作成時の予想とは異なる上、昨年から続く減税処置などで、4月末までの税収は想定額を475億レアル下回り、市場が懸念している。減収が目立つのは、工業製品税136億レアル、所得税141億レアル、社会保険101億レアルなどで、経済活動の回復が遅れている事などを示している。
 基礎的収支の黒字目標は831億レアルから631億レアルへの減額のみだが、イタイプ発電所からの収入を23年分まで前倒しで歳入として計上する事を認めるという予想外の方策も採られており、今後の政権担当者の頭を悩ませそうだ。
 中銀はインフレは下半期に鈍化との予想を発表したが、それでも市場では、5月28、29日の通貨政策委員会では前回以上の0・5%ポイントの基本金利引き上げとの予想が広がっている。
 22日には、1〜4月の経常収支の赤字額が330億ドルとなり、GDPの3%に達した上、4月の生産部門への外国直接投資(FDI)は貿易収支赤字額以下で、FDIが貿易収支をカバーできない状態が6カ月連続との報道もあった。