「今までの仕事が報われた気持ち」―。クリチーバ市環境局長、パラナ州環境局長を務め同地の街づくりに尽力してきた中村ひとしさん(69、兵庫)の人生が3月、書籍『ブラジルの環境都市を創った日本人―中村ひとし物語』(未來社、257頁)となって紹介された。
同書は、書著である明治学院大学の服部圭郎教授(はっとりけいろう)のアイデアによって実現したもの。同大経済学部で都市・地域計画を研究する服部教授のブラジルの都市計画に貢献した日本人を紹介したい、という思いから始まった。
同書では中村さんの生い立ちから、渡伯、後に片腕としてサポートする事になる元クリチーバ市長で元パラナ州知事のジャイメ・レルネル氏との出会いなどが順を追って詳しくまとめられた。
中村さんは人と自然の調和という日本文化の考え方を大切にしてブラジルの都市計画に携わってきたという。「今までの仕事が報われた。大変名誉なこと、ありがたい」と話し、「日本の人に一移民としての自分のブラジルへの貢献を知ってもらえて嬉しい」と喜んだ。
同書の準備は3~4年ほど前から始まり、執筆者の服部教授は取材のため何度も来伯した。中村さんは、「この本には、近頃の活気のない日本の若者へ向けた激励のメッセージもある。遠いブラジルへ移民し、活躍した日本人がいる事を伝えたい」と説明した。
同書は3月に出版され、それに合わせて中村さんも訪日。3月22日、明治学院大学で本の出版記念講演会を行った。5月には日本都市計画学会から中村さんに国際交流賞が贈られる予定だ。希望者は日系書店などに注文を。(長村裕佳子クリチーバ通信員)
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