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オーリャ!

東洋街の飲み屋で先日、偶然にも本紙6面で小説「日本の水を飲みたい」を連載している広橋勝造さんと出会った。
彼が得意としているのは、コロニア文学では珍しい娯楽性の高いアクション小説だ。登場人物は知人をモデルに書いており、実在の場所や組織が次々に出てくる。
初めて書いた小説は短い喜劇だったとか。でも書き始めたきっかけはなんとも悲しい…。苦楽を共にした友人が急逝し、仕事も手がつかなくなる程の鬱状態の中、自然と思い出された友人との笑い話を書きとめていたら、いつのまにか小説の形に出来上がっていたという。
会えなくなった人と会おうとしたら小説家になっていたという所か。「読者を楽しませるにはね…」とさも楽しそうに話す、その心の裏側に潜む深い悲しみを見た気がした。     (石)