ニッケイ新聞 2013年4月4日
2011年5月24日にパラー州ノヴァ・イピシュナで起きた環境活動家夫妻殺害事件の陪審裁判が、同州南東部のマラバーの裁判所で3日から始まったと3日付G1サイトなどが報じた。
法定アマゾンの自然と農業の共存を願い、不法伐採に反対する活動を続けていたジョゼ・クラウジオ・リベイロ・ダ・シウヴァ氏と、妻のマリア・ド・エスピリト・サント・ダ・シウヴァ夫妻が、待ち伏せしていた2人組に射殺されたのは、11年5月24日の早朝の事。クラウジオ氏の耳が切り落とされていた事などから、夫妻を脅迫していた大土地所有者らが殺させたとの見方は当時から出ており、環境活動家達の中には、危険を逃れるために他の町に移った人達もいた。
その後の調べで、シウヴァ夫妻殺害を命じたのは、2010年に政府の農業改革の対象地3区画を10万レアルで不法入手し、そこに住む夫婦3組を追い出そうとしていた小農園主のジョゼ・ロドリゲス・モレイラ容疑者で、実行犯はリンドンジョンソン・ロッシャとアルベルト・コペス・ド・ナシメントの2人だった事が判明。シウヴァ夫妻は、モレイラ容疑者が不法入手した土地に住む夫婦の立ち退き抵抗を支援していた。 3人は2011年9月18日と21日に逮捕されたが、裁判所が2013年4月3日に陪審裁判を行うと決めたのは2012年3月5日。裁判は2日を要する見込みで、検察側14人、弁護側13人が証言に立つ3日の法廷には、傍聴を希望する遺族や環境活動家ら約500人が集まった。
問題の土地には現在、モレイラ容疑者の妻が住んでいるが、殺害事件の前に同容疑者がその土地を不正入手した事を知る人々は12年5月、国立植民農地改革院(Incra)に容疑者の妻への定住権付与に異議を申し立てた。売買禁止の土地を買い、活動家2人を殺害させた人物の関係者が定住権を得たのでは不法入手の正当化に繋がるとの訴えを受けた同院は、今年3月20日に検察庁特別局に同件に関する審議を要請している。
熱帯雨林の不法伐採反対運動では、1988年12月22日にアクレ州で殺害されたフランシスコ・アウヴェス・フィーリョことシコ・メンデス氏や、2005年2月12日にパラー州で殺害された米国人でブラジルに帰化したドロシー・スタングことイルマン・ドロシー宣教師が有名だが、シウヴァ夫妻の活動も国際的に評価され、国際森林年の2012年2月9日に国連で特別表彰された。