CSN寄贈地から重金属=住民の健康に懸念広がる=リオ州政府が同社を批判
ニッケイ新聞 2013年4月6日
従業員の住宅建設用にと1990年代にナシオナル製鉄(CSN)が寄贈した土地が、重金属などで汚染されている事が判明し、リオ州環境局のカルロス・ミンク局長が住民の健康への懸念と同社への批判を表明と5日付伯字紙が報じた。
問題の土地は、リオ州ヴォルタ・レドンダにあるコンドミニアム「ヴォルタ・グランデ」で、土地の一部は、CSNが1986年から99年に産業廃棄物の埋め立て処理場としていた。この場所は95年に従業員用の住宅建設地として金属労組に寄贈され、97年にコンドミニアムの建設が始まった。同地区には2257人が住んでいる。
ミンク局長によると、CSNが寄贈した土地の一部からは、神経障害を引き起こす可能性があるカドミウムや鉛、コバルトなどの重金属や、石油などを原材料とし発がん性もある不燃性の合成液体アスカレルなどが検出され、全住民中、約750人が住む1万平方メートルほどの地区は早期移転が必要だという。
これに対しCSNは4日、同局長の発言の根拠となった州立環境院(Inea)による調査の結果は見ていないとした上で、同社では2000年以降、5回以上にわたる土壌検査を行っており、住民の健康に影響を及ぼすような重大な汚染が起きているという報告は一度も受けてないとの文書を発表した。
Ineaの監視下で行われた土壌検査は、CSNが依頼したニッコル・ド・ブラジルが2012年にサンプル採取したもので、産業廃棄物は、無防備のまま、9メートルまでの深さの所に埋められていたという。
CSNによる土壌汚染に関しては、2004年の住民からの告発以来、様々な憶測も飛んでいたが、CSN側は、監視活動は2000年から行っており、健康被害を及ぼす可能性はないと言い続けてきた。
コンドミニアムの住民達によると、00年にはアセカレルの廃棄場だった場所に建っていた家屋2軒が取り壊され、サッカー場に作り変えられた上、流産経験者や気管支系の疾患を抱える住民もいる。CSNは1年以上前、「この地区の土壌は健康被害をもたらす可能性があり、果樹や野菜の栽培には適していない。地下水も使用しないように」と呼びかける看板を設置したという。
ミンク局長は、5千万レアルの罰金と産業廃棄物の撤去、住民の健康調査と賠償などを求めている。12年7月には連邦検察庁も捜査に乗り出したが、産業廃棄物が埋め立てられていた土地は、リオ州住民が飲用水を取水するパライバ・ド・スル川にも隣接しており、地区住民の健康調査と並行し、より広範な調査が必要となりそうだ。