ニッケイ新聞 2013年4月9日
ブラジル日系文学会(武本憲二会長)が主催する「第30回武本文学賞授賞式」が31日午後、サンパウロ市の宮城県人会館で行われ、受賞者を囲んで約160人が祝った。今回は日本語部門に前回より20多い89作品が集まり、ポ語部門にはコントに54人、ハイカイに47人、詩に76人が国内各地や国外から応募し、作品数は200を超えた。
司会は編集長の中田みちよさん、井浦賢治エジソンさんが日ポ両語で務めた。30回目の節目の開催にあたる。武本会長は「1983年9月3日付けのサンパウロ新聞に、輝く武本文学賞という見出しで賞の設置が紹介される記事が載った。そこから30年になる」と感慨深くあいさつし、これまでの賞の経緯を振り返った。
続いて受賞者が壇上に呼ばれ、各部門の選考委員から賞状や副賞が一人ひとりに手渡された。来伯していた細川周平氏(国際日本文化研究センター教授)も登壇し、ハイカイ部門の受賞者に賞状を贈呈。「お名前だけはよく知っている皆さんに会うのを楽しみにしてきた」と会場にあいさつした。
受賞者を代表して随筆部門入賞の鎌谷昭さんが壇上に上がり、「コチア青年の会報に書いた随筆が好評を得たことを契機に、邦字紙や楽書倶楽部などに投稿し始めた」との執筆経験を披露した。最後に「継続は力なり。ずっと書き続けたことが賞につながったと思う。これからも健康に留意して書き続けたい」と喜びを語った。
終了後は梅崎嘉明さんが乾杯の音頭を取り、賑やかに歓談した。受賞者は次の通り(敬称略)。 【日本語部門】▼小説=佳作「シングル・ファーザー」原田秀一、▼随筆=入選「プロへの道」鎌谷昭、佳作「大根飯」小栗巌、▼短歌=入選「還り来にけり」谷口範之、佳作「花影」高橋勇三、「ふるさと徒然」中島ノエミ、▼俳句=間嶋稲花水選・特選「待春」須賀吐句志、富重久子選・特選「インコ芭蕉」纐纈喜月、小斉棹子選・特選「身辺抄」西山ひろ子、▼自由詩=佳作「故郷」斉藤白憂、「好き」カツラ・アーサー、「雨」浦畑艶子、▼翻訳=入選「密やかな幸せ」佐東三枝、佳作「密やかな至福」松村千沙、▼川柳=佳作「本音」須賀とくじ、「自戒」公告余禄。【ポ語部門】▼コント=入賞「Ao badalar dos sinos」Maria Apparecida S. Coquemala、佳作「Molho de tomates」Graciela Joyce da Rocha Hernandez、「O cacador de eufemismos」Jacqueline Salgado、▼ハイカイ=入賞「Outono se foi」Francisco Handa、佳作「Casa abandonada」Eduard Tara、「Casa de marimbondo」Joao Toloi、▼詩=入賞「Desenho leve」Itamar Rabelo de Souza、佳作「Para ler em dias de chuva」Luiz Carlos de Moura Azevedo、「Videira」Tatiana Alves。