ニッケイ新聞 2013年4月9日
サンパウロ市東部の地下鉄の駅では、ラッシュ時にホームに入るだけで2、30分はかかると8日付エスタード紙。14年W杯会場のイタケロンに一番近いイタケーラで駅の外の歩道橋の上まで人が溢れる様子などはTVでもよく見るが、ストの日でなくてもこの光景が普通なら、W杯の時はいかにと案ずるのはコラム子だけではあるまい▼NHKで2月放映のニューヨーク地下鉄グランド・セントラル・ターミナル駅は、1971年に旧駅舎が完成・開業、1913年2月に1億人が利用できるよう改装・修復が行われた。同駅は29面のホームと46の発着番線を持つが、改装から100年後もサンパウロ市地下鉄のような混雑や混乱は見られない▼ブラジルに目を転じると、サンパウロ市地下鉄は4号線開通でセー駅の混雑が減ったものの、故障の回数が増え、3号線の混雑は更に悪化など、対応が後手後手に回る。50年で最悪といわれる北東伯の干ばつも、貯水池の建設計画は数年前からあったのに、不正や官僚主義故の不手際などで、お金は消えても貯水池は現れず。サボテンすら持ちこたえられず、食べ物がなくて死んだ家畜の死骸があちこちに転がる光景は、天災半分、人災半分だ▼いつの世も為政者の不手際などで泣くのは弱い立場の人だが、そのしわ寄せがいつかは自分に帰ってくると知る政治家はどれほどいる事か。穀物輸送で大渋滞の道路や港とジウマ政権が昨年掲げた陸海空の輸送網整備計画を比べて見ると、南北鉄道などの古い計画を確実に実行していれば、状況は違ったのではとも思われる。計画性という言葉が欧米ほど浸透してないブラジルで、こんな事をいう事自体が場違いか?(み)