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Selic引き上げ間近に=年間インフレ6・5%超え=3月は抑制傾向だったが=現政権の抑制策も限界か

ニッケイ新聞 2013年4月12日

 12カ月累積での拡大消費者物価指数(IPCA)が政府の目標値の上限を超えたことで、経済基本金利(Selic)の上昇に反対だったジウマ大統領も了承し、来週にも中央銀行が金利引き上げに踏み切る見込みだ。11日付伯字紙が報じている。

 3月のIPCAは0・47%の上昇で、0・60%だった2月より小幅だが、12年4月〜13年3月の累積インフレ率は6・59%となり、政府目標の上限である6・50%を上回った。
 最大のインフレ要因は食品部門で、食品価格の上昇が12カ月間のインフレの責任の約50%を占める。中でも目立つのはマンジョッカ粉151・39%、トマト122・13%、ジャガイモ97・29%、たまねぎ76・46%、にんにく53・13%などだ。
 3月の食品価格は上昇がやや鈍ったが、外食産業も12カ月で8・37%と上げ幅が大きく、バールなどのカフェの値段は11・41%上昇した。コーヒー・パウダーは7・13%の値上がりに止まっており、近年のブラジルでは外食する機会が増え、サービスの価値も増してきている。
 そのほかでは、家賃、授業料、家庭内労働者への支払いなどもインフレ要因となっている。
 この結果を踏まえ、市場では、Selic引き上げは16、17日の通貨政策委員会(Copom)で決まるとの見通しが強まっている。これはジウマ大統領をはじめとした政府も了承済みだ。
 中央銀行はかねてからインフレ対策としてのSelic引き上げが必要と考え、市場もそのように予想していた。だが、ジウマ大統領が第5回BRICS首脳会議中の3月28日に「インフレを抑えるために経済成長を犠牲にするような政策は時代遅れで臆病だ」と発言したため、中央銀行の信用が落ち、先物取引の金利が一時的に急落する混乱を招いていた。
 Selicは現在7・25%だが、市場では13年12月までに0・25%ずつ4回、計1・0%引き上げられるとの見方が一般的だ。中央銀行の元理事のセルジオ・ヴェルラング氏は、「Selicを引き下げても期待されたほどの経済活性化は起きなかった」として、早期の引き上げを提言。向こう1年で1・5〜2・0%あげる必要があると語っている。
 ジウマ政権では、インフレが目標上限の6・5%を超えた11年の下半期以降、工業製品税(IPI)引下げや経済支配介入納付金(CIDE)撤廃、電気代値下げなど、Selic引き上げに頼らないインフレ対策を行ってきた。
 フォーリャ紙によると、これらの政策をとらなかったら13年3月の累積インフレ率は8・49%になっていたという専門家もおり、インフレ率引下げ効果をねらって手を尽くしてもなおインフレが上がるなら、政府もSelic引き上げを認めざるを得ないのが実情と見られる。ギド・マンテガ財相は10日、政府はインフレ長期化を避けるための対策は出し惜しみしないと約束した。