ニッケイ新聞 2013年4月16日
【既報関連】サンパウロ州での少年犯罪での逮捕者数がここ10年で倍以上に膨れ上がっていることが判明した。13〜14日付伯字紙が報じている。
9日にサンパウロ市東部ベレンで起きた17歳の少年による大学生ヴィットル・ウゴ・デップマンさん殺害事件以来、サンパウロ州で少年犯罪への注目度が高まっている。18歳未満の少年による犯罪の場合、殺人罪でも3年で少年院や少年刑務所を出所するが、その処罰を「軽すぎる」と見るジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事が、民主社会党(PSDB)は「児童青年憲章(ECA)」の見直しを求めるプロジェクトを立ち上げる意向であることを11日に示唆していた。
14日付エスタード紙によると、2012年のサンパウロ州での少年犯罪での逮捕者は1万2392人で、これは2002年に比べて138%増えている。この数字は、同じ時期での成人の逮捕者の増加数48%の実に3倍にあたる数字だ。
また、別のデータによると、少年犯罪に絡む訴訟の数は1万4434件で、これは過去12年で78%増となっている。この訴訟には教師に対する過度な言葉の暴力、窃盗や麻薬売買、殺人などが含まれる。
他方、州立の少年院や少年刑務所に収監されている12〜21歳の青少年は2013年4月上旬の時点で9016人で、これは2002年末の37%増で、少年院や少年刑務所の定員総数の8700人を超えている。
少年院や少年刑務所に収監されている青少年の罪状は、強盗(44・1%)と麻薬取引(41・8%)が大半だ。強盗殺人は0・9%、殺人は0・6%の計1・5%(134人)だから、全体から見れば決して大きくないが、アウキミン知事はこの2項目での罰則強化を望んでおり、従来3年の収監期間を10年に延長し、18歳を超えた時点で一般の刑務所へ移動させるとの提案を行いたいとしている。
だが、アウキミン知事の姿勢に連邦政府は消極的だ。ジルベルト・カルヴァーリョ大統領府総務長官は、アウキミン知事の提案に対し「こういう問題に関してはもっと慎重に発言していただきたい」と語った上、「犯罪が若年齢化する傾向はあるが、その大元を考えることが必要だ」とした。また、ミシェル・テメル副大統領も「成人の対象年齢を引き下げれば済むという問題ではない」と語った。
一方、サンパウロ市東部のラルゴ・サンジョゼ・ド・ベレンのカトリック教会では13日に、ヴィットルさんの遺族ら1千人が集い、少年犯罪の罰則強化を求める集会を開いた。