ニッケイ新聞 2013年4月16日
双子の岩山ポン・デ・アスーカルやコパカバーナ海岸などの自然と、コルコバードのキリスト像などの建造物が一体化した景観の美しさで12年に世界文化遺産に指定されたリオ市。だが、W杯や五輪でも注目されるそのリオが世界で最も汚い観光地ワースト10に入り、汚名返上のためにゴミを捨てた人に157〜980レアルの罰金を科すことにした▼同市では主要道路の歩道を1日4回清掃するが、どんなにきれいに掃除しても、40分もすればゴミが溜まるのを目の当たりにする清掃夫達は毎日のように無力感を味わい、道路や海岸の清掃費は年6億レアルに上る。こんな現実に辟易した市役所は、空き缶程度までの大きさのゴミのポイ捨てで157レアル、1立方メートルまでは392レアル、それ以上は980レアルの罰金徴収を決めた。7月からの罰金徴収には軍警や市警備隊なども加わるという▼リオ市が導入する条例は欧米などのモデルに倣ったもので、パリで道路に唾を吐けば約87レアル、ロンドンもガム吐き捨てで約240レアルの罰金。米国テキサス州での罰金は最高約1千レアルだという▼リオ市長によれば、ゴミを捨てた人の名前は銀行業務集中サービス(Serasa)に登録され、罰金を支払うまで名前が残る上、命令に従わない時は警察に連行する可能性もあるという。リオ市では著名人も参加しての啓蒙キャンペーンを展開中だが、「リオを本当に愛しているならゴミを捨てたりしないはず」との言葉がどの位の重みを持つか▼折角の文化遺産も懲罰という形でないと景観を保てないという発想は悲しいが、カリオッカ達の反応やいかに。(み)