ニッケイ新聞 2013年4月23日
国際的な金融危機などを消費拡大で乗り切ってきたブラジルで、Bクラスの負債が増え、購買力の低下もうかがわせる指標が出ていると21日付エスタード紙が報じた。
月収3700〜7400レアルのBクラスは、人数こそ増えたものの、国内消費に占める割合が減り、今年の消費の伸び率も全体の伸びを下回りそうだという。
IPCマーケティングの調査によると、Bクラスが財やサービスにかける金額が国内消費全体に占める割合は、12年9月の50・0%が13年3月は48・5%に低下した。他のクラスでは、Aが18・9%から19・2%に、Cが26・7%から27・9%に、Dが4・1%から4・2%に各々増加。Eは0・1%で同じだが、唯一割合が減ったのがBクラスだ。この傾向は、今年の全国の消費額が前年比9・9%拡大すると見られる中、Bクラスの伸びは6・6%という予想にも反映されている。
国民所得が年毎に拡大し、数年前から、D、EクラスからCクラス入りした人々を指す〃新興中級階級〃なる言葉が使われ始めたブラジル。今回の記事では、CクラスからBクラスに移った人々を指す新興Bクラスという言葉も使われている。
もちろん、BからAに移った人もおり、Aクラスの購買力向上は続いているが、Bクラスの消費や購買力低下は、車や家屋その他の財購入のための融資が利用しやすくなった事も原因だ。
銀行からの融資などを受けて資産を増やせば当然増えるのが負債で、3月の時点で借金がある月収10最賃以上の家庭は47・3%。12年9月の36・2%より大幅に増えた。10最賃未満で負債がある家庭は同時期に56・8%から53・6%に減っている。
ローンなどの返済期日が守れないという人も、最賃10以上は1・9%が2・2%に増加。最賃10未満では6・4%から4・3%に減った。
フォルクスワーゲンに務めていたオットー・リカルド・ブラウエルさん(56)は、大型TVとコンピューターを購入した後に4万7千レアルの車を購入。車のローン月1800レアルは恋人と2人で払っているが、この金額は家計を圧迫。バイトをしてローンを払っているが、例年の楽しみだった旅行の中止も余儀なくされた。
最近は1ランク上の品を希望する高所得者への融資を行う銀行が増えており、返済を期日通りに行っているが月末には手元の金がなくなるというA、Bクラスの家庭は4分の1。銀行と借金返済計画見直し交渉を行うBクラスも増えている。
利用者の約半数が月収4千レアル以上のインターネット販売も、第2四半期に商品を買う予定の人は76・5%で、第1四半期より7・4%ポイント減少。負債が増えた事を自覚したBクラスが消費を自重し始めた事で国内消費は鎮静化との見方が広がり、母の日商戦に向けた準備を終えた商店なども先行きへの不安を隠せない。