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経常収支の赤字新記録=第1四半期250億ドル=国内経済回復というが?

ニッケイ新聞 2013年4月26日

 第1四半期の経常収支赤字は国内総生産(GDP)の4・31%の249億ドルで、1947年の集計開始以来最悪と25日付伯字紙が報じた。
 輸出額から輸入額を引いた貿易収支が52億ドルの赤字だった事や、外国企業が国内での生産・販売活動で挙げた利益の送金とブラジル企業が外国で借りた金やサービス料の支払い、外国旅行者が旅先で使った金などの増加が招いた結果で、輸入の増加率より輸出の減少率が大きいのは懸念事項。12カ月間の累積赤字がGDPの2・93%に当たる670億ドルという数字も、レアル安で悩まされた2002年8月以来の悪い結果だ。
 中央銀行は、貿易収支の赤字増加は、ブラジルの経済が回復し始めたのに世界経済の回復が遅れている事と、ペトロブラスの輸入分が後追い登録になった事が原因という。
 確かに、欧米諸国の景気の回復が遅れている事が、これらの地域への輸出減少をもたらしたという事は言えるだろうし、国内消費が盛んになってきたから輸入が増えたという言い方も頷ける。
 だが、車や白物家電などへの減税で消費促進を図り、負債を抱える家庭や債務不履行者の増加を招いている事や、レアル高で輸入品の方が易く、品数や種類も豊富だからという理由で消費財輸入が増える事が、ブラジルの経済回復の兆しといえるのかは疑問だ。
 また、輸出が振るわないのは、先進諸国の景気回復の遅れと共に、ブラジルの生産コストや税金の高さも原因である事は、電気料金値下げは工業界を助けるためと説明があった事からも明らかだ。
 一方、国内消費拡大で生じた多国籍企業の利益は、欧米の本社減収と絡み、経常収支の中の利益送金の増加を招く。
 更に、25日発表の3月の失業率5・7%という数字は、3月としては過去12年間で最低。昨年12月の4・6%などよりは大きいが、雇用が安定し所得も向上している事などが、外国旅行者の増加や国外で使うお金の増額を招いている。
 第1四半期の経常収支は、2003〜07年の黒字以降、赤字続きでその額は増えるばかり。中銀は、1〜3月は外国直接投資(生産部門向け)が減る時期というが、通年予想額も、経常収支赤字670億ドルに対し、外国直接投資650億ドルで、従来のように外国直接投資で赤字を埋める事が出来そうもない。
 中銀は、政府が対策を講じるから短期間で状況改善と楽観的だが、食物インフレ昂進で、D、Eクラスは第1四半期に食料を中心とする基礎商品(セスタ・バジカ)購入量を11%削減、買い物の回数を減らすなどの自衛策を講じているとの報道もあり、消費依存型の経済刺激にかげりが出てきている。