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パトリシア被告、全面否認=湖西市女児自動車事故=ジョインビレで被告人尋問=3カ月以内に判決公判か

ニッケイ新聞 2013年4月26日

 【ジョインビレ発=田中詩穂記者】2005年10月に静岡県湖西市で起きた女児ひき逃げ死亡事故で、被害者の遺族が日本政府を通じて国外犯処罰を要請していた裁判の被告人尋問が24日午後、サンタカタリーナ州ジョインビレ市内の地方裁判所で行われた。同地に住む藤本パトリシア被告(38)が父ヤスヒロ氏、弁護士に伴われて出廷し、「私は無実」と全面的に起訴内容を否認するなど、これまでの主張を繰り返した。

 被告人尋問は公開の形で行われ、担当したデシオ・メンナ・バレット裁判官はまず、原告側の起訴内容に関する事実確認を行った。同被告は、1時間弱の尋問のあいだ、裁判官の質問に対して概ね落ち着いた様子で答え、時折少し感情的になる場面も見せた。
 「あなたが赤信号を無視したのが原因で衝突事故が起き、女の子が死亡したというのは事実ですか」との裁判官の質問に、「私の進行方向の信号は青でした」と言い切り、「私は時速40キロを守っていた。すごいスピードで(山岡さんの)ワゴン車が走ってきて、止まることができず衝突した」と即答した。
 同被告の声は小さめだったが、特に主張したい部分では抑揚を上げ、早口になり、身振り手振りも入った。
 「4、50メートルくらい前から信号は青を示していて、黄色にもなりかかっていなかった。ワゴン車は時速70キロくらいで走っていたと思う」と相手に落ち度があったことを強調した。
 また「他に車は一台も走っていなかったし、歩行者もいなかった。事故が起こってから、徐々に人が集まり始めた」と目撃者の存在を全面的に否定した。
 事故の5日後に帰伯したことについて、検察官は「日本で一度仕事を変えているようだが、解雇された後も、新たに仕事を探すことはできなかったのか」と質問。同被告は「そんな状況にはなかった。脅されてお金も住むところもなくなって、子供もまだ小さかったから日本を出るしかなかった」と繰り返し、「私は無実。ブラジルの司法を信じている」と締めくくった。
 被告側のエドアルド・コスタ弁護士は尋問後、本紙の取材に対し、「遺族や証人の話は矛盾している点がある。今までは遺族の側の話ばかり取り上げられて、彼女が話す機会がなかった。初めて主張を聞いてもらえた。あとは裁判官の判決を待つだけ」と話した。
 日時は未定だが、次回の公判で判決が出る予定。コスタ弁護士は「あと3カ月以内には公判が開かれるはず」とみている。同被告は現在一人暮らしで、事故当時4歳だった息子は両親とともにサンパウロ市に住んでいるという。