ニッケイ新聞 2013年4月27日
24日に連邦最高裁のジルマル・メンデス判事が上院での新党制限法案審議を差し止めたことに対し、レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)が25日に「最高裁が議会を侵害」と批判した。一方、24日に下院の憲政委員会(CCJ)が最高裁の権限を失墜させる憲法改正案(PEC33)を承認したこともあり、最高裁側も議会に対する批判を強めている。26日付伯字紙が報じている。
メンデス判事の差し止め命令は、ロドリゴ・ロレンベルグ上院議員(ブラジル社会党・PSB)が、同法案を不服として23日に出した嘆願書に応えたものだ。同法案が通れば、新党MD(民主運動)の協力を得たいエドゥアルド・カンポス氏(PSB)や、新党からの立候補を狙うマリーナ・シウヴァ氏(持続ネットワーク・RN)といった14年の大統領選出馬予定者に政治資金や政見放送の割当がなくなり、ジウマ大統領(労働者党・PT)再選に有利となる。
このメンデス判事の行為に対し、レナン議長は「議会は司法の決定に影響を与えるようなことをしていないのに、どうして司法は議会に干渉するのか。これは受け入れ難い。最高裁に行き過ぎを見直させるべく上訴を考えている」と語った。
だが、最高裁判事たちはレナン氏の見解と真っ向から対立。メンデス氏は「私が出した文書を読んでも、平静な審議が行われ、内容もこじつけではないと思うのか?」と取材陣に訊き、新政党規制法案に関する下院の承認の仕方に疑問を投げかけた。また、リカルド・レヴァンドウスキー副長官も「憲法に抵触するような議案なら、最高裁は審議を停止できる」と返答。ジアス・トフォリ判事は、「現時点での討議は民主主義の範囲内」で「対立は起きてない」と語っている。
レナン議長の発言には議員からも反発の声が上がった。与党側は24日の上院で新党制限法案の緊急審議を認めさせようとしたが、賛同者が定数に満たず審議が流れた後の暫定令だけに、民主社会党(PSDB)のアロイジオ・ヌーネス上院リーダーは「誤った方法での審議を先延ばしさせようとしたら暫定令が出た」と語り、民主労働党(PDT)のペドロ・タケス上議も「ブラジルには司法がある。議会は憲法の枠内で行動することが許されており、その枠をぶち壊すことは許されていない」と語った。
またメンデス判事は25日、24日に下院CCJが承認したPEC33に対し、「もしこの法案が通るようなことがあれば最高裁を閉鎖した方がましだ」と語った。同法案は、議会は最高裁が違憲とした法案を再審議でき、最高裁での「違憲」判断も従来の11人中6人以上ではなく9人以上とするもので、CCJでは、68人中21人の出席で表決された。
同法案に対しては、ジョアキン・バルボーザ長官も「もし、この法案が通過したら、民主主義の土台が揺らいでしまう」と懸念している。