ニッケイ新聞 2013年4月30日
【既報関連】25日に大サンパウロ市圏サンベルナルド・ド・カンポで起きた女性歯科医焼殺事件で、未成年者を含む犯人4人が27、29日に逮捕された。9日にサンパウロ市で起きた大学生殺人事件同様、未成年者を含んだ強盗殺人事件だったことが波紋を投げかけている。28〜29日付伯字紙が報じている。
27日付本頁でも報じたシンチア・マガリ・モウチーニョ・デ・ソウザさん(46)の殺害事件は、シンチアさんが営む歯科診療所に強盗団が押し入り、その中の1人がシンチアさんの銀行口座から金を引き落としたところ30レアルしか引き落とせなかったことに激怒して、シンチアさんに生きたまま火をつけて死亡させたものだ。
市警はコンビニの防犯カメラ映像から、犯人のひとりをジョナタス・カッシアーノ・アラウージョ容疑者(21)と特定して捜査を行い、27日未明、ABC地区ジアデマのファヴェーラ、サンタ・クルスにいたジョナタス容疑者とヴィットル・ミゲル・ソウザ・シウヴァ容疑者(24)、そして、シンチアさんに火をつけた17歳の少年を逮捕した。
証言によると、少年は後ろ手に縛られた状態のシンチアさんに高濃度のアルコールをかけ、火をつけたという。少年らはコカインの常用者で、事件直前もコカインを使った少年は、ジョナタス容疑者からシンチアさんの口座には金がほとんどなかったと聞いて逆上し、火をつけたという。事情聴取を行った市警のエリザベス・サトウ氏によると、少年は一連の話をノヴェーラの筋書きを語るように話したという。
また、3人をかくまっていた未成年の少年も逮捕されたが、この少年は事件そのものには関わっていない。逃走中だったチアゴ・デ・ジェスス・ペレイラ容疑者(25)は29日、大サンパウロ市圏イタペヴィで逮捕された。
この犯罪グループは12日にもサンパウロ市南部ジャルジン・クリマクスで歯科医を襲うなど余罪が確認されており、市警がさらに詳しく取調べ中だ。
27日に犯人3人を逮捕との知らせを受けたジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事は、「また10代なのか」と嘆いた。同知事は、9日にサンパウロ市東部ベレンで17歳少年が大学生ヴィットル・ウゴ・デップマンさんを射殺した事件の後、成年の基準を18歳から16歳に引下げ、殺人罪などを犯した少年の刑期を10年にするなどの「児童青年憲章(ECA)」の見直しを国に迫るプロジェクトの立ち上げ宣言を行っていた。
9日の事件以降、サンパウロ州民からも成年の年齢引き下げを望む声が高まっていたことから、ECA見直しへの動きにさらに拍車がかかりそうだ。