ニッケイ新聞 2013年3月1日
【既報関連】28日配信の読売新聞ニュースサイトによれば、同日にあった自民党の政調審議会で、在ベレン総領事館を出張駐在官事務所に格下げすることなどを盛り込んだ在外公館法改正案の了承が先送されたという。「強い外交を取り戻そうとする安倍内閣として妥当か」(高市早苗政調会長)との疑念が出たためで、党の部会で再検討するという。ニュースは地元ベレンにもすでに伝わっており、汎アマゾニア日伯協会の堤剛太事務局長は本紙の取材に「驚いた。今関係者に連絡を取っているところで、皆喜んでいます。ひと安堵したが、これからも運動は続ける」と話し、両国政府向けの嘆願書は今月早々に提出する見込みだという。
パラー日系商工会議所の山中正二副会頭も、「大変よかった。外務省でもじっくり考えてもらうべき」と喜びの声を寄せ、28日夜に山田フェルナンド会頭を交え緊急会議を開き、嘆願書提出の大詰めを行うという。
閣議決定までされている事項であっただけに、それを覆すのは困難だとの見方が強かった中、山中副会頭が鈴木俊一副大臣に電話で直訴したことが功を奏した可能性もある。
しかし、同総領事館に問い合わせたところ、今のところ政府からは何の通達もないという。大岩玲首席領事は「こちらでは何もわからない」と前置きした上で、「政治家の方々の話し合いで、政府とは直接かかわりのない別のところの話だと思う。が、これが膨らんで自民党の総意ということになれば話は変わるかもしれないが…」とのべるにとどめた。
なお、読売新聞の同記事によれば、外務省は組織合理化によって浮いた予算を南スーダンとアイスランドの大使館新設に振り向ける考えで、党内にはアルジェリアでの邦人人質事件などを受け、在外公館の態勢強化を求める声があるという。