第5回ヤクルト杯少年野球大会
ニッケイ新聞 2013年3月2日
南米の野球普及強化を目的としたメジャーリーグによる合宿指導『第3回エリートキャンプ』が1月28日から2月6日まで、ヤクルト・イビウーナ球場を中心に行われた。
今年はメジャーリーグの役員、指導員7人が来伯、ブラジル45人、ペルー5人、アルゼンチン2人と、ブラジル代表選手15人を指導した。2月2日に行われたサンパウロ市サントアマーロ区のSESC(商業関係社会サービス)での指導には、数千人が参加、盛り上がりを見せた。
メジャーリーグによる合宿は今年で3回目。オーストラリア、イタリア、中国、アフリカの順に実施し実績を収めたことで、次は南米ブラジルに目を向けられた。7人は今年もトラック一杯の球具、メジャーリーグのマークが入った、おそろいの赤いTシャツなどを持ってブラジル入りしてきた。輸送費、通関費用などすべて自費で来伯した。
2月1日、ヤクルト・イビウーナ球場でブラジル学生選抜チームとメジャーリーグ・エリートキャンプ・チームの試合が行われた後、来伯3度目となるアメリカ野球の殿堂入りを果たしたバリー・ラーキンは「常に準備さえ怠らなければ、野球は決して負けることはない」と、不断の努力と練習の必要性を説いた。
ヤクルト・ベースボール・アカデミーの佐藤允禧(みつよし)校長(66)は「前回までは部長クラスが来伯していたが、今回は専務理事クラスのドミニッキ氏が来ており、ブラジル野球への期待が高まっていることを示している」と喜んでいた。また、「ヤクルトが球場とアカデミーをつくってくれたおかげで、ここまでブラジルの野球が普及した。ヤクルトの協力がなければ、60年前のコロニア草野球に戻っていたところだ」と、ヤクルトの野球に対する先見性と理解に感謝した。
コロニアの精神野球継承について、「私自身は、若い時からシャドウ・ピッチング(タオルなどを使った形だけの練習)などのイメージトレーニングを不断にやり、努力してきたので、コロニアの精神野球の伝統を受け継いでいると自負している。暴力を振るうのは良くない。うちの生徒をなぐったことは一度もない。厳しいことを言うけれども、なぐったら俺の負けだと思っている。ルールは守れと教え、子どもの人格を尊重した練習をしている。我々の時代とは違い、今は努力してレベルさえ上げれば、日本へでも、メジャーリーグでもどこへでも行ける、子どもの夢がかなえられる時代に入っている」と説明した。