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クリチバの女医起訴間近=前夫の呼吸器も止めた?=助かった患者の証言続く

ニッケイ新聞 2013年3月5日

 【既報関連】患者の死を意図的に早め、殺人容疑で2月19日に逮捕されたパラナ州クリチバの女医に関する調書が、4日にパラナ州検察局に提出されると4日付エスタード紙が報じた。
 2006年にクリチバのエヴァンジェリコ病院の集中治療室(UTI)主任となったヴィルジニア・ソアレス・デ・ソウザ女医は、患者や家族の同意も得ずに人工呼吸器を停止するなどの処置により、患者の死を早めた疑いで2月19日に逮捕された。
 2月20日以降の伯字紙の報道によると、ソウザ医師の逮捕は、2012年3月に匿名告発を受けた州判事が検察局に事実関係の確認を指示、医療犯罪防止センター(Nucrisa)の捜査を経て実現した。ソウザ医師逮捕後は麻酔医3人と看護婦1人も逮捕される一方、新しい告発証言も次々に飛び出しており、Nucrisaが調書を提出すれば検察が不問にふす可能性は低い。
 新しい告発証言は病院職員や元職員、患者の遺族や元患者といった人々によるもので、死亡した患者に筋弛緩剤が注射されたというのは病院職員らによる証言の一つだ。筋弛緩剤は筋肉の働きを止めるため、人工呼吸器の酸素濃度が低かったりすれば、容易に呼吸停止につながる。また、UTIの人工呼吸器の酸素濃度は普段から低めに抑えられていたともいう。
 また、同医師がUTI主任となる前の2004年に脳膜炎で入院した少年は、ボランティア看護婦だった母親と牧師として病室訪問をする父親の願いでUTIに入院できたが、ソウザ医師は1週間後、母親に「脳死で助からないから人工呼吸器を外す、明日、遺体を引き取りに来るように」と伝えた。母親は葬儀の準備をしに出たが、もう一度祈ろうと病室に戻ったところ、少年が手を動かしたため、脳死ではないと判断され治療を継続。退院後も順調で、現在は法学部で学ぶ学生だ。
 元同僚は、06年に大腸がんと心臓病でUTIにいたソウザ医師の夫の人工呼吸器を止めたのはソウザ医師自身だったとも証言しており、疑惑は大きくなるばかりだ。
 医療ミスの一言では片付けられない事例が次々に現れ、医師の倫理などに関する論議を生んだ事件の捜査はある意味でまだほんの一端。医師不足が叫ばれ、教育省などが対策に苦慮する一方で職責を悪用する医師の存在が表面化、社会的にも大きな反響を呼んでいる〃集中治療室の怪〃。ソウザ医師が「掃除せよ」と命じた日はUTIから死者が出たともいわれる事件に関し、検察が同女医らを起訴するか否かなどの判断は、今後5日以内に下されるという。