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PACで遺跡の発掘も加速=考古学的発見の95%=基幹構造工事の副産物=研究と事業計画の関係は

ニッケイ新聞 2013年3月6日

 連邦政府が行う基幹構造(インフラ)工事の活性化で、何世紀も地下に埋もれていた考古学的な遺跡や遺物が多数発見され、PAC事業の遅れも招いていると3日付エスタード紙が報じた。

 ルーラ政権が2007年に導入した経済活性化計画(PAC)による水力発電所や国道などのインフラ工事は、学術研究のためにも大きく貢献している事が判明したが、一方で事業計画そのものの遅れも生んでいる。
 PAC事業が地下の遺跡や遺物の発見・発掘のきっかけになるとの考えはプロジェクト立案時にはなかったはずだが、国立歴史美術遺産院(Iphan)が出した発掘許可数の変化は、PAC事業が多くの副産物を生んだ事を実証している。
 Iphanによる発掘許可は、1991〜99年が194件。2000〜04年は848件、その後も05年358件、06年344件と加速していたが、PAC導入後は、07年454件、08年651件、09年632件、10年862件、11年1018件、12年729件と急増。
 PAC事業の実施には環境許可国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)やIphanによる許可が必要で、事前調査で遺跡や遺物が発見された場合、その保護や細心の注意を伴った作業などが求められる。
 リオ州イタボライーに235億レアルで建設中の石油化学コンビナート(Comperj)の現場では、修道院の残骸しか認められてなかった地域に小さな町があった事が判明した。前史時代と植民地時代のブラジルを伝える町は、全容を地図に記した後、新たな研究と保存のための資金が出来るまで地中に埋められた。
 他方、サンフランシスコ電力会社がピアウイ州で実施中の工事では、不注意に立てた支柱が遺跡に重大な損傷を与え、Iphan側も許可を与えた事業の全てに同伴できない事を露呈した。同院所属の考古学者は07年当時の7人から38人に増えたが、それでも全国622カ所での発掘作業には対応出来ず、事業数増加にあわせた増員を企画省に要請中だ。
 ブラジルでは、大学などの研究機関主導で行われる遺跡発掘は約5%。残る95%は民間の工事現場などで行われており、PAC導入で貴重な文化財発見と喜ぶ一方、専門家確保に苦慮している。
 他方、PAC事業の遅れはIbamaからの環境許可の遅れや連邦会計検査院(TCU)の監査と工事中止命令のせいとしてきた従来の論理は、考古学的発見のおかげで様変わり。エジソン・ロボン鉱山動力相は、エネルギー関連事業の遅れはIphanのせいと、マルタ・スプリシー文化相に苦言を呈している。
 11〜14年実施予定のPAC2に関してはこの2月、12年までの予算投入額は全体の47・8%相当の4724億レアルに達したと報告されている。