ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 石油分配=議会で大統領拒否権を否決=産出地の取り分大幅減に=ジウマは「決定を尊重する」=リオ州などは違憲訴訟に

石油分配=議会で大統領拒否権を否決=産出地の取り分大幅減に=ジウマは「決定を尊重する」=リオ州などは違憲訴訟に

ニッケイ新聞 2013年3月8日

 連邦議会が12年11月に承認した石油のロイヤルティの改正分配法案に対するジウマ大統領の拒否権行使による修正案が、6日に両院で審議され、7日未明に終わった投票で正式に却下された。7日付伯字紙サイトが報じている。

 修正案に対する投票は約4時間に渡って行われ、上院が63人の投票中54人が反対、下院が405人の投票中349〜354人が反対。これにより、大統領拒否権による修正案は却下されることとなった。
 石油のロイヤルティ分配に関しては2009年頃から審議され、上院での改正法案承認後も長らく膠着が続いた。だが、12年9月、石油業界の圧力に押される形で政府が13年5月の新たな油田入札を発表した後、急ピッチで審議が進み、下院でも11月6日に改正法案を可決した。
 だが、その法案どおりだと、石油非産出地に資金が回され、リオやエスピリトサントなどの産出地の州や市は、ロイヤリティの取り分が約10%ポイント下がり、収益に大きな損害が出ることになる。リオのセルジオ・カブラル知事は「これでは16年の五輪はできない」と嘆き、11月26日にはリオで大規模なデモも行われた。
 この新法案が、分配金の100%を研究開発費に充てることを規定していなかったことにも不満を抱いていたジウマ大統領は12月3日、産出地の反発も考慮し、従来の産出地との契約は反故にしないことなどを含む、23の修正提案を行った。だが、議会の反発が大きく、「議会での決断を尊重する」と半ばあきらめた発言を12月のうちから行っていた。
 6日夜はじまった投票は、当初4日に行われる予定だったが、手違いがあったために6日夜に延期されていた。投票前から、産出地にとって形勢が不利なことは予想されたが、リオの議員たちはなんとか投票を阻止させようと妨害行動に出た。共和党(PR)下院リーダーのアントニー・ガロチーニョ下議は、レナン・カリェイロス上院議長の手からマイクを奪い取る行為まで行った。
 リオ選出の議員たちは6日、イデーリ・サウヴァッチ大統領府政局調整担当長官に対し、石油の非産出地に対しては、新しい油田の入札が実行に移されたときに国が前払いをするのではどうか、という別提案を提出した。だが、イデーリ氏は「決定権は議会にある」として受け付けなかった。
 この議会での決定を受け、ジウマ大統領は滞在先のパライバ州で、「平等な分配をするために必要なことをした」と拒否権の行使を肯定したが、「議会の決定に内閣から反対することはない」と、かねてからの議会尊重の姿勢を貫いた。
 リオ、エスピリトサント、サンパウロ州の3州はこの決定を不服とし、憲法違反直訴訴訟(Adins)に打って出るため、連邦総弁護庁(AGU)の支持を取り付ける予定だ。5日には、議会は大統領拒否権の内容を修正して審議しようとしていると最高裁に訴えている。