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イタケロンの工事中断?=建設会社めぐり融資止まる=サンパウロ市からの認定証も遅れる

ニッケイ新聞 2013年3月22日

 コリンチャンスの次期本拠地で、14年サッカー・ワールドカップでの使用も決定しているサンパウロ市東部イタケロン・スタジアムが、ブラジル銀行からの融資が降り込まれず、工事中止となる危険性があると、12、16、20日付エスタード紙が報じている。
 イタケロンの工事継続をおびやかしているのは、コリンチャンスが見込んでいた資金が入金されないことにある。まずひとつは、社会経済開発銀行(BNDES)からの4億レアルの融資がおりないため。この融資はブラジル銀行を介して行われることになっているが、同銀行はスタジアムの工事を請け負っているオデブレヒトへの信用問題で払い出しを差し止めている。
 オデブレヒトへの融資は12年7月にBNDESとブラジル銀行の双方によって許可されているが、それが払い出されないのは、オデブレヒトが提出した保証(担保)をブラジル銀行が不十分としているからだ。同社は将来の収入見込みを保証としようとしたが、銀行側は拒否。命名権を担保にする案は、前例がなく難しいようだ。
 オデブレヒト側はコリンチャンスが同社をスタジアムの共同運営者として迎えたら新たな保証を出すと主張しているが、コリンチャンスはこの件に関する交渉は行わないことを通達済みだ。
 また、コリンチャンスはサンパウロ市から合計4億2千万レアル分の開発活性化認定(CIDs)を受けることになっているが、市場で換金されるCIDsは、2月末までと約束された分もまだ発行されていない。コリンチャンスとオデブレヒトの代表はハダジサンパウロ市市長との会談で、1億5600万レアル分のCIDsを3月中に発行するとの約束を取り付けることができたため、現場の労働者に18日からと通達してあった工事の停止は、とりあえず数日間延期された。
 コリンチャンス前会長で同スタジアム建設のための調整作業の中心的役割を果たしているアンドレ・サンチェス氏によると、同スタジアムの工事はW杯にかなり影響されている。同スタジアムはW杯開会式の仕様にあわせて建設されるため、W杯終了後にスタジアムを使用する場合、W杯用に作ったものを改装しなければならない。このために14年いっぱいはイタケロンが使用できず、スタジアムからの収益が出なくなるという。
 そういう事情もあり、サンチェス氏は、数日または数週以内に合意が成立しなければ本当に工事が止まってしまうと訴えている。同スタジアムは2月末現在66%の建設を終え、完成予定は12月31日とされている。