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SPFWに今年も参加=ファッションデザイナー=日系四世 山本フェルナンダさん=経営の才能も生かし活躍

ニッケイ新聞 2013年3月22日

 サンパウロ市イビラプエラ公園で開催中の、南米最大のファッションイベント「サンパウロ・ファッションウィーク」(以下、SPFW)に、日系四世の山本フェルナンダさん(34)が空気感ある爽やかな夏物コレクションを携え、今年も参加した。記事を折り畳んだ直線の多いデザインは、どこか折り紙を思わせる。08年、当地デザイナーの登竜門「プレミオ・リオ・モーダ・ハイプ」でデビュー。名門ジェツリオ・バルガス校で経済学を学び、企業経営に携わった経歴を活かし、市場調査から制作、販売までを自らこなす。サンパウロ市ヴィラ・マリアナ区で経営する「フェルナンダ・ヤマモト」でデビューの経緯や日本にまつわる思い出を語った。

 大学卒業後、経営の道に進んだが、衣料関連企業に勤めた際「服は単なる商品ではなく、その制作を通して私という人間を表現できる」ことに魅力を感じ、畑違いのファッション業界に身を投じた。
 04年、アルマンド・アルバレス・ペンテアード大学(FAAP)のファッション・デザイン科に入学、1年後米パーソンズ大に留学し、カルバン・クラインなど有名メーカーで2年間経験を積んだ。帰国1年後の08年、女性向けオリジナル・ブランド「フェルナンダ・ヤマモト」を立ち上げた。
 翌年店をオープンし、自身のコレクションに加え、「FY コンヴィーダ」と称して他州のデザイナー作品も展示販売する。
 将来性ある新人デザイナーの舞台SPFWには毎年招かれ参加、国外へも活躍の場も広げつつある。「デザイナーにとって大事なのは、才能と市場の理解。経営学を学んだことに後悔はない」と、満足気な表情を見せた。
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 ヴィラ・マダレーナ区にある店の一角には、1918年に渡伯し若くして亡くなった、曽祖父(広島県出身)の結婚式の写真が大切に飾られている。「この写真からイメージしてコレクションを作ったこともある。でも祖母は苦労を思い出すのか、昔のことはあまり話したがらない」。祖母の家で寿司やすき焼きなど日本料理を食べたことは、日本文化にまつわる少ない思い出の一つだ。
 両親も子どもの日語習得にあまり関心がなかったため日本語は話せないが、観光や仕事の都合で訪日した際は「計画性があって、教育や団体精神を重んじる日本人に自分が重なった」と振り返った。 店の住所=Rua Aspicuelta, 441, Vila Madalena、電話=11・3032・7979。ショーの様子はSPFWのサイト上(ffw.com.br/spfw)で見ることができる。