ニッケイ新聞 2013年3月29日
県連ふるさと巡りでサンタカタリーナ州ジョインビレ市を訪れた時、朝食にでたサラミ状のものがやけに美味く、同市の佐藤マリオ文協会長の妻オミウデさん(非日系)が直ぐ横にいたので、そう感想を言うと「これはコッパ(COPA)です。私の父はイタリア系二世で、ヴィデイラ市でコッパ職人をしていました」と嬉しそうに説明してくれた▼同市はブラジルが誇る食肉加工会社ペルジゴンの発祥の地だが、まさにそこに勤めていたという。サラミは挽肉で作るが、コッパは肉の塊をそのまま乾燥熟成させる。近くの店で値段を見るとキロ40レアル以上と安くない▼山間部の多い同州に入植した多くの欧州系移民は、多くない牛や豚を家族で大事に飼い、夫は加工工場に勤め、家族ぐるみで同社と深いつながりがあった。同社創立は1934年だが、乳製品で有名なバターボ社や競合社サジア社と吸収合併を繰り返し、09年からブラジル・フーズ社となった▼夫の佐藤さんはアラサツーバ出身。ジョインビレ市の日系人は150人ほどと少なく、地元ガイドによればドイツ系が8割を占める。初入植は1851年3月9日と古く、当時わずか114人だったが、今は53万人まで発展した。日系移住地の中からも、いずれそんな町が生まれるだろうか▼同市では2カ月に1度、同地文協が日本食祭りをし、ヤキソバや手巻き寿司を提供する。蘭や花卉栽培も盛んで、11月には盆栽祭りも。「ハナマチ(花町)」という漫画アニメ愛好家のイベントも2年前から始まった。こんな文化混交がブラジルの真骨頂だと、味わい深いコッパをしみじみ噛み締めた。(深)