ニッケイ新聞 2013年2月2日付け
【既報関連】上院の議長選挙が1日に行われ、民主運動党(PMDB)のレナン・カリェイロス上議が次期議長に選出されたと1日付G1サイトなどが報じた。連日の疑惑噴出と最高裁への起訴などで与党内からも出馬辞退を求める声が出ていたが、事前のロビー活動で党内の異分子も丸め込んでの当選に、政界浄化の願いは遠のきそうだ。
個人支出をロビー活動家に支払わせていたなどの汚職疑惑で、第2期目に入ったばかりの上院議長職を07年に辞任し、検察庁から起訴までされたレナン氏の議長選出馬には与野党双方から批判の声が上がっていたが、結果的には、賛成多数で同氏の上院議長再任が決まった。
最大野党の民主社会党(PSDB)アエシオ・ネーヴェス上議が、レナン氏に議長選出馬を辞退するように求めたのは1月28日。その後も与党の労働者党(PT)エドゥアルド・スプリシー上議らが出馬に反対する意向を表明したが、PMDBは議長候補を変更せず、レナン氏やその周辺は与野党内の支持を固めるためのロビー活動に奔走した。
選挙前々日には、PMDB上院リーダーの座をかけて争っていたアウニシオ・オリヴェイラ上議とロメオ・ジュカ上議の間も調整し、ジュカ上議に第2副議長の座を約束したレナン氏は、党内分裂を回避して議長選に臨んだ。
一方、最年少上議でありながら議長選出馬の意向を示していた自由社会党(PSOL)のランドウフェ・ロドリゲス上議は、反対票統一のために民主労働党(PDT)のペドロ・タッケス上議支援に回ったため、議長選はレナン氏とタッケス氏の一騎打ちとなった。
議長選は応援演説から始まり、候補者2人の主張を聞いた後にサルネイ議長の退任挨拶、投票と続いた。開票結果がまとまったのは午後2時30分で、レナン氏56票、タッケス氏18票、白紙と無効各2票でレナン氏の再任が決まった。
上院議長団は議長、副議長2人、書記4人からなり、各役職は議員の数が多い政党から順に割り振られる。副議長はPTのジョルジ・ヴィアナ上議とPMDBのロメオ・ジュカ上議、書記は、PSDBとブラジル労働党(PTB)、共和党(PR)、民主党(DEM)から選出される。
なお、下院議長選は4日だが、最有力候補のエドゥアルド・エンリッケ・アウヴェス下議(PMDB)も種々の疑惑の中にある事は1月16日付本紙でも報じた。
1月30日には、レナン氏の議長選出馬に反対する非政府団体「リオの平和」の会員20人が、黄色と緑の箒、洗剤持参で議会の入り口を清掃しようとしたが、警備員に阻まれ、箒と国旗を議会前の芝生に並べる形の抗議行動が行われた。ジウマ政権初年の汚職告発やメンサロン裁判などで高まった国民の政界浄化への期待は、なかなか応えられそうもない。