12年の銀行業績伸び悩む=世界ランクでも影響が=為替の動きが足引っ張る=債務不履行の増加対策も
ニッケイ新聞 2013年2月6日
銀行の2012年度の決算報告が続く中、英国のフィナンシャルタイムズ誌による金融機関の世界ランキング発表と4、5日付ブラジルメディアが報じた。ブラジルのランキングは昨年の4位から6位に落ち、為替の動きや国内での業績不振が反映された形になっている。
フィナンシャルタイムズ社の月刊誌「ザ・バンカー」が発表した金融機関の世界ランキング上位500社に入ったブラジルの金融機関は8行。国別ランキングは昨年の4位から6位に転落し、為替の動きや金利低下などで、競争力がそがれた様子が見て取れる。
ブラジルの金融機関で最も高いランキングだったのはブラデスコ(16位)で、イタウ・ウニバンコ(18位)、ブラジル銀行(22位)の三つが世界ランキング上位25位までに入っている。
ブラデスコは保険部門で世界2位、小売部門で3位、イタウ・ウニバンコもクレジットカード発行数で世界5位など、躍進した部分もあるが、ブランド・ファイナンスのラ米担当者、ジウソン・ヌーネス氏によると、2011〜12年の為替の逆風がなければ、ブラデスコが10位、イタウは12位、ブラジル銀行は18位に入っていたはずだという。これら3行以外にランキングされたのは、208位BTGパルトゥアル、230位レデカルヂ、243位バンリスル、304位ノルデステ銀行、413位パナメリカノの5行だ。
為替以外に各行の業績に影響を及ぼした可能性があるのは、経済経済基本金利(Selic)の引き下げと債務不履行の問題だ。Selic引き下げは金融機関に薄利多売型の営業努力を強いる事になり、金を借りても返せない債務不履行者の存在は、貸倒引当金増額などによる回転資金の減少も意味する。
昨年度の決算報告は、1月28日のブラデスコを皮切りに、31日サンタンデル、2月5日イタウと続いている。ブラデスコの場合、収益が前年比3・2%増の113億8100万レアルだったのに対し、貸付総額は11・5%増の3855億レアル、返済が90日以上遅れる債務不履行は前年の3・9%より増えて4・1%になった。
サンタンデルは世界全体の収益の26%を占めるブラジルで収益が5・1%減り63億3千万レアルに終わった一方、貸付総額は8・3%増の2274億レアル。個人の債務不履行は上半期、企業の債務不履行も下半期には減少に転じると見ているが、貸倒引当金の準備が必要な状態はまだ続く。
イタウ銀行の収益は135億9400万レアルで前年比7%減。貸付総額は7・4%増の4266億レアルで、第4四半期の債務不履行は第3四半期の5・1%よりやや低い4・8%だった。
工業界の不振や建設業の雇用や給与の伸び悩みが報じられ、サンパウロ州で負債を抱える家庭はほぼ半数といった報道も続く。借金やローン返済で首が回らない客のみになれば、新規融資契約や回収率の低下も起こりかねない。