ニッケイ新聞 2013年2月7日
ペトロブラス社の2012年の純利益は前年比36%減少し、過去8年で最低の数字を記録した。これを受け、同社のグラッサ・フォステル総裁は「13年はさらに厳しいものとなる」との見解を示した。5〜6日付伯字紙が報じている。
4日の発表によると、ペトロブラスの12年の純利益は211億8200万レアルで、333億1300万レアルだった11年比36・42%の減益となった。四半期別に見ていくと、第2四半期に13億5千万レアルの赤字を記録したのが響いた。赤字計上は13年ぶりで、その後もインフレ高騰を恐れての燃料値上げ抑制などもあって大きくは取り返せず、2004年以降で最低の純利益となった。
同社のグラッサ・フォステル総裁は4日に投資家や株主にあてた声明を出し、減益の理由を説明した。それによると、国際価格が上昇したガソリンなどの派生品の輸入が増えたこと、為替変動でレアルの価値が落ちたこと、油田の枯渇などによる予想外の経費増大、石油生産量が予想を上回る前年比2・35%減の年間197万4千バレルに落ちたことの4点が減益の理由だという。
その一方、グラッサ総裁は、同社が引き続いて前年比16%増の976億レアルほどの事業投資を継続する意向を表明した。その内訳は約半分の53・1%が石油開発および生産部門に割かれ、以下、サプライ部門に33・3%、ガス・エネルギー部門に5・7%、国際投資部門に3・8%が割り振られる。
また、グラッサ総裁は5日、株主への配当額に差をつけることを発表した。12年の株式配当は優待株主が0・96レアルで、11年の0・92レアルより若干高くなったが、一般株主は0・47レアルで約半分となった。これは、両株主間の配当を同じにしていた同社では初の試みだ。
13年の見込みについて同総裁は、「12年に引き続いて難しい1年になる」と発言した。株価低迷などで資金力が落ちたことなどもあり、負債額が昨年末の549億ドルを上回る723億ドルとなっており、経営陣の建て直しと生産部門の回復に専念するが、それ以外のプロジェクトを行うことが困難だという。
これらの動きを受け、5日のペトロブラス社の株価は1日で8・3%の下落し、16・60レアルとなった。同社の市場価値は2248億3千万レアルとなり、2010年に大資本化が行われて以来最低の額となった。同社の市場価値は約1カ月強で300億レアル下がっている。
ブラジルの石油会社で減益となったのはペトロブラス社だけでなく、シェル社、BP社、シェヴロン社もそれぞれ、前年比14%、55%、3%の減益となっている。