ニッケイ新聞 2013年2月12日
サンパウロ市のサンバ会場で9、10の両日、エスペシャル14チームが出場したパレードには、今年も多数の日本人や日系人が参加した。あいにくの雨天に負けない熱狂の中、それぞれの思いで煌びやかな国民の祭典の感動を味わった。
「ブラジルに着いたのは半日前。実は参加が決まったのも一昨日」と話すのは、サンバチーム「アギア・デ・オウロ」に参加した篠村奈美さん(33、東京)。一週間程度の旅程には、本来はカーニバル参加の予定はなく、「この時期にやっていることすら知らなかった」とか。
だが、JICA青年ボランティアをする友人の勧めで、たまたま空きがあった同チームに急遽参加が決まった。「イメージ以上で圧倒された。忘れられない思い出」と満面の笑みを浮かべた。
「アカデミア・ド・タトゥアペ」に初参加にして、いきなり山車の上で踊りを披露するというオオタ・バネッサさん(26、二世)に、開始直前に話を聞くと「出場は念願だった。練習通りにやれば上手くできるはず」と緊張と興奮が入り混じった表情を見せた。
同チームには日系人を中心に50人以上からなる「アジアグループ」が参加し、金地に銀線入りのきらびやかな衣装を身に纏い、リズムに合わせ体を揺らした。
長谷川エドウィンさん(30、三世)は演技終了後、「日本やアジアの文化を、たくさんのブラジル人が注目するカーニバルの舞台で表現できるなんて素晴らしい」と興奮した面持ちで話した。
「昨年初めて観て、次は絶対出ようと決意していた」というのは、進出企業駐在員を夫に持つ三方真紀(39、愛知)、山本真弓(34、大阪)さんの二人組み。優勝候補の「ヴァイヴァイ」に出場した。「練習に参加してブラジル人がサンバにかける熱い思いを知った。何だか日本の部活動みたい。観るのも楽しいけど実際にやるのはもっと楽しい」と語った。
「ローザス・デ・オウロ」に参加した市村聖次さん(42、二世)は、仕事の都合でなかなか練習時間がとれない中、懸命に歌詞や振り付けを覚えた。「こんな感動を味わえたのは初めて。また次もぜひ」と来年への意気込みを語った。