ニッケイ新聞 2013年2月19日
エクアドルの大統領ならびに国会議員選挙が17日に行われ、現職のラファエル・コレア氏(49)が3選を果たした。10年間に8人の大統領が乱立した同国では珍しい10年の長期政権誕生だが、報道規制強化などの強引な政治手法への批判も出ている中、コレア氏が既にメディア法の制定を口にしていると18日付伯字紙が報じた。
大統領選には8人が出馬していたが、ブラジリア時間の17日23時50分(開票率55%)には、コレア氏56・7%に対し元銀行頭取ギジェルモ・ラッソ氏23・3%で、コレア氏の勝利が確定。18日には選挙委員会が「コレア氏が得票率61%で勝利した」と発表した。ラッソ氏の得票率は23%だった。
07年に大統領となったコレア氏は憲法改正後の09年選挙で再選されており、今回の当選で計10年の長期政権が誕生する。17日夜、首都キトの大統領府前では、大勢の支持者を前に「我々は国民に仕えるためにここにいる。更に4年の任期が与えられた事を感謝する」と述べるコレア氏の姿があった。
コレア氏は貧しい家庭の出で、父親は幼少時に麻薬密輸への関与で逮捕された。だが、ベルギーのルーヴァン・カトリック大学と米国イリノイ大学で経済修士号と博士号取得のコレア氏は、01年にルシオ・グティエレス政権の副大統領アルフレド・パラシオ氏の経済顧問となり、グティエレス大統領失脚でパラシオ氏が大統領に昇格した05年に経済相に就任。しかし、新自由主義経済と対決する経済政策が世界銀行や国際通貨基金(IMF)と対立。国民の支持は得たが、4カ月で経済相を辞任した。
翌06年の大統領選に出馬したコレア氏は決選投票で当選。以後、豊かな石油収入を政府で管理し、最低賃金引上げや貧困層の生活支援などの社会福祉事業を進めるなどして中・低所得者層の支持を固めてきた。
同国の経済を安定化させ、低所得者層からの支持が厚いコレア氏は再選後、(137議席中、与党が大多数の80議席確保と予想されている)国会でメディア法制定などを進めると明言した。エクアドルは反米左派的な中南米諸国8カ国からなる米州ボリバル同盟(ALBA)のメンバーの一つで、当選後のコレア氏は「この勝利はベネズエラのチャベス大統領に捧げる」とも発言した。
ブラジルとは08年、同国の水力発電所建設を担当していたオデブレヒト社を国外追放した事や発電所建設のためにブラジル社会経済開発銀行から借りた債務の返済問題で緊張関係が生じたが、同年末の南米諸国連合(ウナスール)会議でルーラ大統領(当時)とコレア氏が会談し、外交関係が正常化。以後は良好な関係を保っている。