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ヨアニさん来伯で騒動=親キューバ団体から罵声=本人はいたって平然も

ニッケイ新聞 2013年2月20日

 キューバの国際的ジャーナリスト、ヨアニ・サンチェスさん(37)が同国政府の許可を得ての最初の訪問地であるブラジルに18日に到着したが、親キューバ団体から来訪反対運動を起こされ、波乱の国外旅行幕開けとなった。19日付伯字紙が報じている。
 自身のブログでキューバの現状を訴え、国際的な評価を得るヨアニさんは、5年間で20回の渡航禁止処置を受けてきたが、キューバ政府の国外渡航緩和策で国外渡航が可能となり、17日にキューバを発って、80日間で10カ国をめぐる旅に出た。
 最初の訪問国はブラジルで、バイーア州の映画監督ダド・ガルヴォン氏のドキュメンタリー映画で自らも出演した「キューバとホンジュラスのコネクション」の上映会に参加するはずだった。
 だが、18日未明にペルナンブコ州レシフェの空港に到着するや、ヨアニさんは親キューバの左翼団体から米ドル紙幣を模した紙を投げつけられた。また、バイーア州サルバドールの空港でも叫び声をあげてヨアニさんを非難する団体があったため、ヨアニさんは別の出口から空港を出た。
 こうした厳しい洗礼にも関わらず、ヨアニさんは「反対を叫ぶことは民主主義の特権で、私の住む国では見られないこと。キューバだったらこんな抗議活動は2分と持たない」と気にもとめない。「私は批判されることには慣れている。私は身の安全のために黙るより、思うことを言って嫌われる方がいい」と自らの立場を強く肯定した。
 その後は、バイーア州フェイラ・デ・サンターナ市にあるパルケ・ド・サベールに移動し、映画上映会とゲストに招かれたエドゥアルド・スプリシーサンパウロ市上院議員(労働者党・PT)との討論会に臨んだが、ここでも、ブラジル共産党(PCdoB)との結びつきが強い青年社会連合(UJS)のメンバーら約50人から「裏切り者」「CIAの手先」「金の亡者」などと罵倒された。
 上映会はこうした会場の状態を鑑みて中止されたが、ヨアニさんは15分ほどのスピーチを行い「私は、意見を述べること自体が裏切り行為だと解釈される国で生きています」と語った。
 アントニオ・パトリオッタ外相はヨアニさんの今回の来伯騒動に対して、「こうした反発もキューバ国民が自由を得るためのひとつの過程だろう」との見解を述べている。