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「極貧撲滅はほぼ達成」=ジウマ大統領が正式発表=14年大統領選の謳い文句に=PSDB攻撃も忘れず

ニッケイ新聞 2013年2月21日

 ジウマ大統領は19日、「(自政権で)2200万人が極貧状態を脱した」と発表した。大統領はこれを14年の大統領選のセールス・ポイントにする意向だ。20日付伯字紙が報じている。

 「極貧消滅は最初の一歩」というスローガンを掲げた式典で、ジウマ大統領は、13人の大臣や10人の州知事、数多くの議員や政党党首などを前に、11年に導入した貧困救済プログラム「ブラジル・セン・ミゼリア(極貧なきブラジル)」により、ボウサ・ファミリアに登録されていた2200万人が極貧状態を脱したと発表した。
 ジウマ政権初年の11年6月にはじまったプログラムは、ルーラ政権が導入した生活扶助「ボウサ・ファミリア」登録者中「月収1人あたり70レアル以下」の極貧家庭を、1人71レアル以上の貧困層に移行させることなどを目標とする。極貧脱出は12年5月の6歳以下(後に15歳以下に拡張)の子供を持つ家庭への追加支援「ブラジル・カリニョーゾ」導入で活性化し、13年2月現在の極貧者は小さい子供がいない家庭など250万人に減っている。
 ジウマ大統領は、ボウサ・ファミリアに登録された最後の極貧者250万人が最低70レアルの月収を確保できるよう、3月から同プログラムへの追加投資を行うと発表した。これにより13年のボウサ・ファミリア関連の経費総額は240億レアル近くになる見込みで、ルーラ前大統領が10年に費やした143億レアルを大幅に上回る。
 他方、ジウマ大統領は「目に見える悲劇が終わっても、まだ目に見えてない悲劇がある」として、未登録の極貧者の存在を認めた。ボウサ・ファミリアに未登録の極貧者はまだ70万人いると政府は見ている。
 今回の式典のスローガンは、10年のジウマ氏と、06年のルーラ氏の大統領選選挙参謀だったジョアン・サンタナ氏が考えたもので、14年の大統領選でのジウマ氏の謳い文句の一つになる見込みだ。労働者党(PT)党首のルイ・ファルコン氏は式典の場で、次期大統領選出馬が噂されるエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)やマリーナ氏(維持ネットワーク)の存在も眼中にないとばかりに「政府の支障になるようなものはない」と語り、ジウマ氏の大統領再選に自信を覗かせた。
 この式典は20日に開かれたPTの連邦政府統治10周年イベントを翌日に控えて開催され、ジウマ大統領は名前こそ伏せたものの、カルドーゾ元大統領(民主社会党・PSDB、95〜02年)がとった新自由主義の経済政策を「保守的で古いモデルだ」と批判した。カルドーゾ氏はPTの10周年イベントについて「ブラジルが前進したことを祝うべきだ。自分たちの党に栄光を帰すなんて子供じみている」と19日にビデオで語った。
 「極貧なきブラジル」は貧困家庭の生活環境整備や教育普及も含むものだが、大統領やPT関係者はこれらの項目には口を閉ざしている。

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