ニッケイ新聞 2013年2月22日
労働者党(PT)は20日、「連邦政府統治10周年」を祝い、ルーラ前大統領が14年の大統領選候補はジウマ大統領であることを明言した。式典には新与党の社会民主党(PSD)なども参加したが、同日の上院でPT政権批判を行ったアエシオ・ネーヴェス氏の民主社会党(PSDB)叩きに終始した。21日付伯字紙が報じている。
「PTの10年—国民の国民による国民のための政府」と銘打った式典は20日夜、サンパウロ市北部のホテル「ホリデイ・イン」で行われ、ルーラ前大統領が、同日の上院でPSDBの14年大統領候補と目されているアエシオ・ネーヴェス上議が行った「PT政権で弱体化した13点」という演説への答えは、14年選挙でのジウマ大統領再選だと言い放った。
アエシオ氏は、国内総生産(GDP)停滞、経済活性化計画(PAC)中断でインフラは未整備のまま、工業の停滞で一次産品頼みの貿易に逆戻り、国有企業のペトロブラス社を破綻させ各種公社も解体、計画性のない電力政策、治安悪化や麻薬問題拡大、保健や教育問題の悪化、権力主義とマスコミ批判、社会倫理の欠如などの13点を挙げてPTを批判。「PTはカルドーゾ政権(1995—2002年)が築いたレアル・プランの経済的支柱を破壊しつつある」と批判した。
これを受け、ルーラ前大統領は10周年の席上で、「野党への答は、立てたい奴を立ててかかって来いという言葉だ。疑う奴にはジウマの14年大統領選再選が答えとなる」と語った。ルーラ氏が14年大統領選へのジウマ氏出馬を明言したのははじめてで、これにより、前大統領が次期大統領選出馬との噂も明確に打ち消された。
ルーラ氏は、19日のカルドーゾ氏の「PTがブラジルの成長を自分の手柄にするのは幼稚だ」との発言にも、「(カルドーゾ氏は)我々がこの8年間、『ブラジル史上ではじめて』と言い続けてきたせいで苛立っているんだろう」と揶揄し、「PSDBは『自分たちならもっとできる』と主張するだけで、具体的な政策が何もない」と批判した。
ジウマ大統領もルーラ氏に続き、「経済的支柱を壊すもなにも、私たちはカルドーゾ政権からは何も受け継いでいない」と語った。ジウマ氏は19日にも、カルドーゾ政権の新自由主義経済政策を「時代遅れの古いモデル」と批判していた。この見解は、カルドーゾ政権時代を評価していた11年の大統領就任時とは大きく異なる。ジウマ氏はまた、PSDBの批判を「何百万人もの人が喜んでいるのに不協和音を鳴らす『ずれた太鼓』のようだ」と評した。
式典にはメンサロン事件で断罪されたジョゼ・ジルセウ氏やジョゼ・ジェノイーノ氏なども参加。ルーラ氏は事件への言及を避けつつも、事件の発端ともなった他党との連携を擁護して「汚職について語るのを怖がる必要はない」と語った。