ニッケイ新聞 2013年2月28日
労働者党(PT)と民主社会党(PSDB)による批判合戦で熱を帯び始めた14年の大統領選だが、ここに来て、ブラジル民主党(PSB)にエドゥアルド・カンポス党首の出馬をめぐる対立が起き、同じく出馬が噂されるマリーナ・シウヴァ氏(維持ネットワーク)がジウマ政権の経済政策批判を行うなど、二大政党の枠を超えて拡大しつつある。27日付伯字紙が報じている。
次期大統領候補のアエシオ・ネーヴェス氏(PSDB)が20日に行った「PT政権で弱体化した13点」発表と、同日の「PT政権10周年」式典でのジウマ大統領によるカルドーゾ政権(1995〜2002年)批判などで、両党の対立は激化。その後も、大統領戦に向けた両党の動きは加速している。
PSDBは党大会の日程を5月25日から19日に早め、新党首としてのアエシオ氏を5月23日と6月1日の大統領選挙向けのプログラムに登場させる意向だ。これは、ミナス・ジェライス州だけに止まりがちだった同氏の知名度を全国区に広げることが目的だ。同党では、10年の大統領選に敗れたジョゼ・セーラ氏も出馬を狙っているという。
一方、ジウマ大統領はPSDBの動きに対抗するため、民主運動党(PMDB)との同盟関係を強化するべく、3月2日の同党の党大会に出席する。同党のレオナルド・キントン下院議員に運輸相のポストを与えることも検討されている。
PSDBとPTの動きの裏側で、大統領経験者のカルドーゾ、ルーラ両氏も舌戦を繰り広げている。カルドーゾ氏が25日にジウマ大統領を「皿にツバを吐きかける恩知らず」と批判したのに対し、ルーラ氏は26日に「カルドーゾ氏は静かにジウマの政治を見守るべきだ」とやり返した。
一方、両党の動きを22日に「古い喧嘩」と批判したカンポス氏に、PSB内から反発も出ている。98、02年に社会大衆党(PPS)から大統領選に出馬、現在はPSBだが、ルーラ政権で国家統合相もつとめたシロ・ゴメス氏は23日、カンポス氏が「大統領になってもどんな政治がしたいのか、具体的なヴィジョンが見えない」と発言、同氏の出馬は「時期尚早」と語った。同じ批判はアエシオ氏やマリーナ氏にも向けられた。
カンポス氏は同発言をめぐり、近日中に話し合いをと求めたが、シロ氏は26日も「大統領になりたければPSBの大臣職を返上し、一般社会にPTが今やっている政治がおかしいと気づかせる位でないと」と語った。弟でセアラー州知事のシジ・ゴメス氏も同日、「PSBはPTを支援しつづけるのが自然」と発言した。その一方、PSB独自の候補を立てたいとの声も出てきている。
また、16日に新政治団体「維持ネットワーク」を立ち上げたマリーナ氏は、26日のフォーリャ紙の取材に、「ジウマもPSDBも新しい経済の流れがわかっていない」との批判を行った。