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中流階級を敵に回した大統領演説

 祝日5月1日の前夜、ジウマ大統領が全TVとラジオを通して〃選挙演説〃を行ったと対立候補が批判した。今年に入ってインフレがぐんぐん上昇するのに反比例して、大統領支持率は見る見る下降している。その状況への焦りが現れた内容だった▼特に気になったのは「所得税の課税額の修正を4・5%上昇に抑えることを達成した」と、さも良いことのように強調した点だ。同時に「ボウサ・ファミリア(家族扶助手当、BF)を10%上げることを決めた」とも宣言した▼前者が意味するのは、中流階級にとっては実は「増税」だ。所得税の課税枠は毎年インフレ調整されているが、その上昇率を実際より低く抑える政策だ。例えば、今年までギリギリ免税だった者が、給与を実際のインフレ率に合わせて修正したら、来年からは課税対象者になる。すでに払っていた中流階級にとっては、より高い税率に移行する。蔵相は「インフレ目標が4・5%だから修正額も同率に抑えた」と説明していた▼にも関わらず、後者のBFは10%も上げた。大統領支持者の大半がBF受給者であり、それへの支給額をインフレ率以上で上げることは〃選挙対策〃に違いない。中流階級からより多く税金を取って、下層に手厚く配分する。あからさまだ。しかも中流への課税増額に対し、大統領は「達成した」的な表現を使った。「中流を敵視し、貧民側である」と明確に示した▼「全国民の大統領」であるならばそんな物言いはできないはずだ。支持者に向けた「選挙演説」だったと思わざるを得ない。「初女性大統領」の印象を汚さずに退きたいなら、再出馬しない方が得策だ。(深)