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湖西市の女児死亡事故=二審判決はまだ上訴可能=「三審持ち込みは難しい」

 【既報関連】2005年に静岡県湖西市で起きた女児が死亡した交通事故で、事故後に帰伯した藤本パトリシア被告に対し、サンパウロ州高等裁は二審で「禁錮2年の有罪だが、刑罰に関しては時効」との判決を出し、5日付の官報に掲載された。
 関係筋の話を総合すると検察側、弁護側とも連邦司法高等裁(STJ)への上訴がまだ可能。つまり厳密には判決は未確定で、「官報掲載から十数日前後」ともいわれる上訴期限の明確な期限も明らかにされない状態となっている。
 在聖総領事館総務・政務班の鈴木暁領事は「(被告が)逃げ得にならないよう注視はしている」としたが、「日本政府が当地の司法に介入することはできない」と説明し、判決が確定する期日に関してのコメントを避けた。
 州高等裁の広報担当者も、「上訴可能な期間がいつまでかは、検察官や弁護士にしかわからない」とした。
 別の専門家によれば、第三審において第二審の判決が覆されるためには新たな証拠が出てきたか、手続き上のミスがあったなどという場合のみ。担当のエリアーネ・パサレリ検察官は本紙の取材に「これ以上は打つ手がない」と強調しており、被告側のエドアルド・シケイラ弁護士も「目的は達成された。上訴する意向はない」と話した。
 サンパウロ州高等裁元判事の渡部和夫氏は「5日から15日以内に双方が上訴しない場合、判決が確定するのでは」と話し、「双方、特に検察側が上訴するつもりがないなら、いずれにしても(三審への持ち込みは)難しい」と見ている。

判決文で藤本被告を断罪

 今回入手した判決文全文によれば、3人の判事の全員一致で出された二審判決(Acordao)文の中で、報告担当のアラメーダ・サンパイオ判事は「事故の原因が被告の過失にあったということは、申し分ない形で証拠が明らかにしている」と明言する。
 証言は詳細で矛盾しておらず、警察の捜査によって信憑性が増しているとし、「被告が信号無視をしたと考えられる。いかなる状況も被告の責任を打ち消すことはない」としている。
 被告が事故後に帰国したことに関して「被告の行動は正しくなかった。仕事や住居を失ったなどとして日本から逃げ帰った。しかし、事故から訴訟が始まる間、子供を失った痛みを緩和することは何もなされなかった」とも書いている。
 ただし、同判事は被告の罪を認めながらも、「それが刑罰を重くする理由にはならないと考える。被告の行動は、その結果にもかかわらず、罰を重くすることを強要するものではない」として締めくくっている。渡部元判事はこの判断について、「被告に前科がないことから、最低限の年数の禁錮刑が妥当だと考えたのでは」とみている。