健康広場
5月19日(水)
糖尿病患者の悩みの種の一つが、様々な合併症だ。高血糖が続くことにより知覚神経や運動神経に障害を起こす糖尿病神経障害は、糖尿病がもたらす合併症でも多い症状と言われる。一旦、発症すると対症療法しか方法がないため、予防が肝心となる。
【症状】
痛みを感じる知覚神経と手足を動かす運動神経、さらに内臓などをつかさどる自律神経など全身に広がる末端神経が損傷するのが、特徴で、一般的には感覚神経が最初にダメージを受ける。具体的には(1)足のしびれや痛み(2)こむら返りが特に夜間に目立ち、不眠の原因ともなる。
また、自律神経が障害を起こすと立ちくらみや排尿障害、インポテンツ、下痢、便秘などを引き起こす。
通常、こうした症状の発現は糖尿病と診断されてから、十~二十年後と言われるが様々で、日本臨床内科医会が二〇〇一年にまとめた診断基準では約一万三千人の糖尿病患者中、神経障害の発生は四千七百人、つまり36%となった。
【原因】
高血糖状態が長く続くと細小血管がつまり、神経細胞に栄養が行き渡らなくなる。このため、神経が萎縮したり切断されたりして、やがて障害を引き起こす。
要は血糖値をいかに管理し、糖尿病とうまく付き合うかが、発症を遅らせる鍵となるわけだ。実際、糖尿病患者でも神経障害を起こさない例も多い。
【生活習慣への助言】
この症状のメカニズムはまだ不明だが、食生活を見直し、血糖値を管理することが不可欠。(1)栄養のバランスを考え、主食+主菜+副菜の献立に(2)きちんと一日に三回食事を取り、一度に食べ過ぎない(3)野菜や海草類を(4)夕食には脂肪を控えめに(5)砂糖含有量の多い食品、飲料は避ける(6)原則、禁酒(7)肥満に注意(8)禁煙――などがある。
特に注意すべきなのは次の項目に当てはまる人だ。
(1)血縁者に糖尿病患者がいる(2)健診で尿糖が陽性(3)太っている(4)毎日、酒をたくさん飲む(5)4キロ以上の赤ちゃんを産んだ、もしくは妊娠糖尿病と診断された――などの経歴があれば、生活習慣を見直すこと。
【早期発見には】
神経障害の治療は鎮痛剤などによる対症療法が主だが、初期であれば程度を軽くすることは可能。
また、通常なら痛みや胸の苦しさを感じる心筋梗塞も自覚しにくくなるため、命の危険も伴う。空腹時の血糖値が常に120MG/DL以上の人は、危険性が高いので血糖値の制御を徹底する必要がある。
また当然だが、一番良いのは生活習慣を見直し、糖尿病に罹らないことだ。