健康広場
10月14日(木)
手がしびれる。少し歩いたり走ったりするとスネの具合が悪く、翌朝痛みを感ずるという人がけっこう多い。人間、どこが悪くても辛いものである。
今回は「膝関節」と「エスポロン」について述べてみる。
診療所に電話で「スネが痛むのですが、何回ぐらい通院すればよくなるでしょうか」と聞いてみる人がいるが、本人を見たわけでもないので、治るとも治らないとも返事に困ることがよくある。そこで、まず膝関節について簡単に説明してみる。
スネは大腿骨頭と頸骨頭の間に、メニスコという柔らかいゼラチン状のものがあり、8の字の形になっている。これを関節半月とよび、上からかかる体重を分担する役目を担っている。
また、大腿骨頭と頸骨頭は丈夫な二つの靭帯(すじ)で強く結ばれている。これを前十字靭帯と後十字靭帯とよび、関節が前後にずれないように安定させる役目をしている。
両側にはそれぞれ内側側副靭帯、外側側副靭帯と呼ばれる二つの靭帯があり、スネを補強し、脱臼を防いでいる。
スネのまん中には、触ったらわかる膝蓋骨という丸い骨がある。これが大腿骨頭と頸骨頭を保護している。
以上、膝関節について説明したが、難しい解剖用語がまじっているので、分かりにくいかとも思われるが、骨の名前はどうしてもやさしくできないのえ、ゆるしてもらう他ない。
学校の講義や講演など機会あるたびに、くどいほど繰り返しているのが「原因を見つけよ」ということである。診断して、まずどこが悪いのか、なぜ痛むのか、その原因をみつけることが大切である。
「膝関節痛」の原因は四つあると考えられる。あわせて治療法も述べる。
①前にも述べた膝関節(スネ)のどれかが損傷した場合。メニスコ、つまり関節半月、十字靭帯、側副靭帯のいずれかが傷ついた時である。局部をマッサージし、お灸をすると痛みがとれる。痛みがとれた時点でスネを持ち上げて上下に曲げるようにする。この関節半月の損傷は、スポーツをする人によくみられる。
②骨盤が左右どちらかにずれ、下肢体にかかる上肢体重の均衡がくずれる場合である。二本足で歩くのは人間だけである。長年よじった体で歩いているとスネが痛くなる。このことにはだれも気がつかないのが普通である。両手でスネを持ち上げ、多少痛みがあっても胸のあたりまであがると、だいじょうぶ治る。われわれ整体師の間で「はねる」という、足をひっぱると同時にスネを上に押し上げる技術があるが、これは多年にわたる豊富な経験が必要である。
③股関節という大腿骨頭の位置に異常がある場合である。両手で足を持ち上げるとスネは曲がるが足があがらない。痛みを感じる。これは股関節から来るもので全身と局部マッサージをよくし、その後お灸をしたり、本人が入浴後ポマードをぬったりするとよい。
④レントゲン写真でみても股関節がくもって大腿骨頭がはっきりしない。股関節(スネ)にも損傷があって、両手をスネを持ち上げても股関節も曲がらない、スネも曲がらない。
これは重患で小生にはムリ、治療は困難である。
すべての治療について言えることだが、患者の体をよく観察し、全身マッサージをほどこし体を解きほぐしてから、局部を治療することが大切である。
次に「エスポロン」について説明する。
あまり聞き慣れない言葉だが、足のかかと(踵)が痛くなることがある。これを俗に「エスポロン」という。これで悩んでいる人は意外に多い。
骨の表面は一般に骨膜または関節軟骨によっておおわれ、骨細胞と基質からなり、三分の一は有機質、三分のには無機質からなっている。
石畳やアスファルト、コンクリートの路上を、長い間かかとの柔らかい靴やぞうりで歩いていると「エスポロン」にかかる。
幼少の頃は骨が柔らかいために「エスポロン」にかかりにくいが、壮年、老年期になると無機質が増えて、骨は弾性を欠き骨折も起こりやすく、また「エスポロン」になる確率も高くなる。どちらかといえばやせ型より肥満型に多くみられる。
たとえば、骨盤が右に傾くと、上肢体重が左足にかかる。「エスポロン」は短日になるものではなく、長年このようによじった体で生活しているところからくるもので、骨も筋肉も生きものであるから同じ場所、つまりかかと(踵)に重力、加圧など何らかの形で作用を常にあたえると変形する性質をもっていて、骨の表面に隆起が生じる。
これがだんだん大きくなるにつれて骨についている筋や靭帯が痛み始め、血管や神経が骨の表面にふれるようになる。これが「エスポロン」である。
「膝関節痛」も「エスポロン」も骨盤からくる派生病の一つであることはいうまでもない。
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