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レーザー手術の人気上昇中=近眼=僅か20分で痛み出血なし=日本からも治療ツアー=老眼も治る時代に

健康広場

4月6日(水)

 暗いところで、本を読むな!幼いころ、親からそう叱られませんでしたか?「近眼になると、もう元に戻らない」と。老眼が進んだらちょうどよくなると、言い訳を考えた人もいるだろう。レーザー手術の普及で、そんな親子の会話が将来、消えてしまうかもしれない。ブラジルは先進国に比べて費用が割安で、日本から手術を受けに来る人もいるという。一方、老眼の手術も研究が進み、実用化に向けて期待が膨らむ。
 ある統計によると、アメリカでは年間百二十万人がレーザー手術を受けているという。ブラジルも人気上昇中で、〇四年上半期は前年同期比で二割増加した。
 眼科医のオカダ・ユウジ・ウイルソンさん(三世、51)は、十年ほど前から、近・遠視、乱視、白内障などの手術を手掛けている。「近眼だけで、毎月二十人の患者が来る」と語り、レーザー治療の普及を実感している様子だ。
 近眼は、眼球の前後の長さが変わったりレンズ(水晶体)が厚くなるなどして、スクリーンである網膜に映像がうまく結ばなくなる状態。度数は二十歳前後まで進行するので、手術を受けられるのは、成人後になる。
 一般的に行われているのは、レーシック(LASIK)と呼ばれる手法だ。まず角膜表面を薄く削って、フラップ(フタ)を形成。そこから、角膜実質にレーザーを照射することで、屈折率を変化させ光の焦点を調節する。
 点眼麻酔をするので痛みはなく、僅か二十分ほどで終わる。また、出血はなく、入院する必要も無い。一日は安静にしておくのがよいが、簡単な事務仕事なら翌日から出勤も可能だ。 視力が安定するまでに数カ月かかり、術後に通院する必要がある。
 一方、レーザーの当て方によって、手術が不調に終わるリスクがあることも忘れてはならない。レーザーの強弱は予め自動設定されるので、「事前の検診を十分にやることが肝心だ」と、オカダ医師は警告する。
 術後の経過が思わしくない場合に備え、保障制度を設けて対応している医院もあるそうだ。
 費用は両目で、二千五百レアル。健康保険でカバー出来るが、全体の二割ほどだという。日本では五十万円が相場。そのため、タイなどに手術ツアーに出掛ける人も少なくない。「日本人がブラジルに来ることもあります」と、オカダ医師は話す。
 レンズは遠くを見る時は薄くなり、近くをみる時は厚くなる。老眼は、レンズ自体が硬くなり変化に対応出来ない。矯正手術は、眼内レンズ(人工レンズ)を眼の中に埋め込むことが主体だ。
 多焦点レンズと調節機能付きレンズがある。前者は、一枚のレンズで近くから遠くまで焦点の合う位置が複数あるというもの。老眼用コンタクトレンズと構造が似ている。後者は、ピント合わせのときに働く筋肉(毛様体筋)の動きに応じて、眼内で前後に動きピントの合う位置が変化する。
 手術の方法は、白内障手術とほぼ同じ。水晶体を取り出して、代わりに眼内レンズを挿入する。多焦点レンズは、人によって見え方が暗く感じ、コントラストが低下するといった症状が出る場合がある。
 また、調節機能付きレンズは新しい方法のため、長期にわたって効果が維持されるのかが、まだ確認されていない。
 このほか、レーザーによって老眼を治療するという方法も研究されている。白目の部分に数箇所のレーザーによる切開を加えることで、毛様体筋の働きを改善するというもの。やはりまだ、手術後長期間のデータが存在していない。
 オカダ医師は「ブラジルでも老眼の手術は、まだ研究途上の部分が多い。実用化されると多くの人が、喜ぶのでは」と、今後の成果に注目している。

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