健康広場
4月6日(水)
「それを造れば、彼が来る」。ある春の日の午後。姿なき声が農夫を突き動かし、一面に広がるトウモロコシ畑を草野球のグラウンドに変える決心をさせる。
この球場こそ、まさにアメリカン・ドリームの代名詞。生涯打率歴代三位のシューレス・ジョー・ジャクソンを始め、往年の選手らが次々と姿を現す。
米・アイオワ州を舞台に、家族愛や夫婦愛を描いたフィクション映画「フィールド・オブ・ドリームス」(一九八九年)。主演のケビン・コスナー扮するレイは、地域住民の冷ややかな目にもめげず夢を追う。
トウモコロシと言えば、ビタミンB1か。糖質を分解する酵素を助けて、エネルギーに変える働きをするもの。疲労回復やストレス解消に効果があり、中・高年のボケ防止や記憶力のアップにつながる。
冒頭部分に、夕食のシーンがあった。もちろん、トウモロコシが食卓に上っていた。主人公は、自身の農作物で活力を養ったのだろうか。
無論これは、単なるこじ付け。原作者のWPキンセラ氏も脚本・監督のフィル・アンデル・ロビンソン氏も、そんな稚拙な発想はしなかっただろう。
それにしても米と麦と並ぶ世界三大穀物の一つには、若々しさが似合う。「ミーリョ・ヴェルデ(milho verde)」。ブラジルで食用にされている品種だって、生命力がありそうな名。一粒、一粒にパワフルな栄養素が詰まっていそうだ。
実際成分中に、抗酸化効果を持つビタミンEを含有。発育に関係があるビタミンB2も、少なくない。(1)血行改善(2)冷え性(3)肩凝り(4)更年期障害の緩和に一役買い、生活習慣病予防のためにも食べておきたいところだ。
またスイート・コーンの場合、食物繊維の量は百グラム当たり3・1グラムで、フキ(1・1グラム)、セロリ(1・5グラム)よりも多く、便秘の改善や大腸がんの予防になる。
もっとも、ミーリョ・ヴェルデの味にはがっかりさせられた。といのは、大学時代を過ごした札幌でスイート・コーンを食べ慣れていたから。夏の風物詩である大通り公園の「焼きトウモロコシ」。醤油の香ばしさが、舌に残っている。
ブラジルでは、フェスタ・ジュニーナ(六月祭り)にカンジカ、クラウ、パモーニャを食べる。この祭りで祀られる三人の神のうち、サン・ジョアンはトウモロコシの神だ。
十月植え付け分の収穫時期が、ちょうどフェスタを前にした四月~五月。収穫に感謝し、五穀豊穣を祈願する意味合いが、込められている。今年は旱魃の影響で減収が予想されており、農家泣かせの秋になりそうだ。