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肺炎は死因の第4位=全国で予防キャンペーン=急激な冷え込みで=老人施設気を揉む

健康広場

5月4日(水)

 急激に気温が下がり、秋の深まりを実感するこのごろ。お年寄りにとって、肺炎の怖い季節になった。ブラジル国内で年間、約二百万人が罹患。毎年三万三千人以上が亡くなっている。死亡原因の第四位。細菌やウイルスなど原因は様々で、病気に対して正しい知識が求められそうだ。六十歳以上を対象に、全国の市町村は流行性感冒の予防キャンペーンを展開中。糖尿病など慢性疾患で免疫力が弱い人は、風邪だけでなく肺炎の予防ワクチンも無料で接種してもらえる。
 サントス厚生ホーム(斉藤伸一ホーム長、五十九人)で四月三十日、流行性感冒・肺炎・破傷風の予防接種があった。同市が毎年、無料で実施しているもの。看護婦など五人が施設を訪れた。
 「今年の夏はすごく暑かったのに、ここにきて急に冷え込んできました」。斉藤ホーム長は、神経を尖らしている。病人などを除いて五十二人が予防注射を打った。それでも毎年、数人が肺炎に苦しむという。「お年寄りは寒さに弱いですから…」。
 この日、スザノ・イッペランジャホーム(福島庄太郎ホーム長、二十五人)も市の職員を待ちわびていた。福島ホーム長は「今日来る予定なんですが、もう正午になるから多分来週ですネ」と気を揉んだ。
 高齢者が肺炎になると、死に至るリスクが高い─。そんな懸念が、念頭にある。老人の場合激しい症状が出ないことも多く、気づいた時にはかなり悪化していたということになりかねない。
 「高熱が出ないことだってあるし、運営側として怖い。不調が見つかったから、すぐに検査に向かいます」。バロメーターは食事。食欲が落ちたら、肺炎の疑いを持つという。
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 肺炎は、病原菌の感染で肺の組織に炎症が起きた状態を言う。「感染性」と「非感染性」に分けられる。前者は細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、心筋性肺炎。後者は薬剤性肺炎、アレルギー性肺炎。
 細菌やウイルスは、呼吸時に鼻や口から体内に侵入する。健康な人は、喉で病原菌を排除出来るが、風邪などで喉に炎症が起こっていると、菌が素通りしてしまう。ただ、風邪にかかった全ての人が肺炎になるのではない。
 「非感染性」は、エアコンのカビや加湿器の水に繁殖した真菌などアレルギーの基になる物質(アレルゲン)が肺胞内に入って反応。肺炎を引き起こす。
 いずれも体力や免疫力が落ちている時が、危険だ。高齢者、複数の菌に感染している人、糖尿病・心臓病・脳血管障害など慢性疾患のある人は重症化。致死病になる恐れがある。
 細菌性肺炎の場合、鼻水、鼻づまり、咳、頭痛といった風邪の症状から始まる。やがて高熱が続き、呼吸困難や胸痛、顔面紅潮、チアノーゼ(唇や爪が青黒くなる)などの症状が出る。
 治療は抗菌薬の投与が主流。化学療法が、導入されることもある。鎮咳薬、解熱薬など、対称療法も並行して行い、治癒まで一般的に一~二週間かかる。
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 六十歳以上を対象にした流行性感冒の予防キャンペーンは四月二十五日にスタート。各市町村の保健所などで、五月六日まで実施されている。FMU大学の看護コース(サンパウロ市リベルダーデ区)で四月三十日に行われ、百九十人が訪れた。
 「流行する風邪のウイルスは毎年、異なるんですよ」と松田・トモコ・ノエミ講師。秋から冬に変わるこの時期に、注射を打てば効き目が大きいという。
 肺炎の予防接種は、肺炎球菌(細菌性の一種)の感染に対し効果がある。高血圧、糖尿病、エイズなどで、免疫力の弱い人が対象。五十人分が用意されていた。
 松田講師は「必要なしと診断された人でも、希望者は有料でワクチンを接種してもらえる」と語り、不安な人は保健所に相談するよう勧めている。
 肺炎の予防接種と言え、百%ではない。(1)風邪をひかないように注意する(2)うがいや歯磨きでいつも口の中を清潔にする(3)自分のアレルゲンを知り予防対策をとる(4)換気をよくし、室内の空気を清潔に保つ──など生活改善も求められるという。

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