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高齢者の運動量とは?=「無理をせずマイペースで」=体調チェックで事故防止

健康広場

2005年7月27日(水)

 生活習慣病の予防に、適度な運動は欠かせない。また最近は、高齢者の転倒防止に、筋力トレーニングが効果的だとも言われる。しかし高血圧や糖尿病など、様々なリスクを負っている高齢者。安易にスポーツを始めると、心臓に過度な負担がかかり、心臓発作や心筋梗塞を引き起こしてしまう恐れがある。血糖値・コレステロールの低下、ストレス発散など運動によって得られるものは大きいだけに、健康管理に十分配慮したい。

 「頭のてっぺんからつま先まで刺激することになるので、健康増進にもってこいですよ。ジョギングほど、激しくもありませんから」。リベルダーデ歩こう友の会の幹部は、ウォーキングの利点を売り込む。
 毎週日曜日の早朝に、約三十人が参加。リベルダーデ広場からサンパウロ美術館(MASP)を経由して、イビラプエラ公園まで歩く。全長七キロ半。トイレ休憩を含めて、歩行時間は約二時間だ。
 「街の木々に目をやりながら歩行すれば気分も和らぐし、仲間との会話も楽しみ」。
 運動不足の人が全長七キロ半と聞けば、腰が引けてしまうかもしれない。上りが中心のリベルダーデ広場~MASP(四・二キロ)と下りが多いMASP~イビラプエラ公園(三・三キロ)に区別。初日からいきなり、全長に挑戦しなくてもかまわない。
 もちろん自由参加で、事前に医師の診断書が必要など厳しい要求はない。その分、関係者らは参加者の健康管理に気を配っている。
 「各コースで体を慣らしながら、距離を増やしていけばよい。無理をせず自分の体力に合わせてするのが重要です」。幹部が必ず、最終列に加わって会員の健康状態に注意。顔色の悪い人や息を切らしている人などを見つけると、声をかけて帰宅を勧める。
     ◇
 「運動をすれば血糖値やコレストロールが下がるからといって、中高年が急にジョキングや水泳、自転車など激しいスポーツを始めるのは絶対ダメ。心筋梗塞を発生する危険があります」。
 援協総合診療所の老人内科医師比嘉智子さん(30、二世)は、血圧・脈拍測定と体調チェックなどをしてから運動を始めるようにアドヴァイスしている。
 高齢者の運動量について、目安になるのはアンダーソンの基準だ。
 (1)安静時脈拍が百を超えている時は運動を休む(2)運動中、息切れ・めまい・胸痛、新たな不整脈などの症状が表れたり、脈拍数が百三十五~百四十を超えた時は、運動を中止する(3)運動後二分後の休息で測定した脈拍数が安定時プラス十に戻らない時は運動過剰──の三点。
 運動開始前の血圧が180/100mmHgを越える場合は休むべき。中止のポイント(表1)にも配慮が必要だ。高齢者は温度調節の機能が低下しているので、気温の変化に留意。衣服による温度調節や、水分補給を行わなければならない。
 「体力や運動歴には個人差がある。運動やスポーツを始める前に、医師などに相談して運動プログラムを考えるのもよいでしょう」と比嘉医師。結局、自分の健康を守るのは、自分しかいない。

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