健康広場
2005年10月5日(水)
婦人会の手作り料理は各地の自慢の一つで、来訪者に対する大きなもてなしでもあった。最近、フェスタやイベントで弁当や仕出し料理に切り替えるところも出始めた。会員の高齢化で、体力的にきつくなったからだ。
女性の社会進出や核家族化の進行など、婦人会離れの原因にはいろいろ考えられる。外食産業は八〇年代から成長を始め、女性が各家庭で台所に立つ時間は減少したともいわれる。〃おふくろの味〃をどう伝えていくか、日系に限った課題ではないかもしれない。
フェジョアーダ、ドブラジーニャ、モコト……。代表的なブラジル料理を考えてみた。バタタ(ジャガイモ)が、余り入っていない。もっともハバードやバカリャウには使うが、気になって調べてみたら一人当たりの年間消費量は十四キロだった。
ボリビア(六十九キロ)、ペルー(六十八キロ)、アルゼンチン(五十五キロ)を大きく下回り、南米平均(三十キロ)の半分以下だ。旧宗主国ポルトガル(百二十三キロ)と比べると、桁違いに低い。
ビタミンCやB1、B6などが豊富。カリウムや鉄を含み食物繊維も多く、フランスでは「大地のリンゴ」と表現される。原産はアンデス山地なのに、どうしてブラジル人は摂取しないのか──。
おそらく米食やマンジョッカで、でんぷんを補っているからだろう。ブラジル農牧調査研究公社によると、権威ある研究者が南米大陸で初めて稲作を行ったのはブラジルだと指摘。トゥピー族は「水のトウモロコシ」と言って、ブラジル発見前から海岸の浸水地で栽培していたという。
十六世紀半ばにバイーア、十八世紀半ばにマラニョンに米作農家が存在していた。ポルトガル王室は一七六六年に、リオデジャネイロに脱穀機を設置することを許可。十九世紀半ばまでに、主要輸出国になっていた。
米を前に霞んだ穀物だったバタタ。その薬効は〃おばあちゃんの知恵袋〃として昔から言い伝えられている。絞り汁の飲用が胃炎や十二指腸潰瘍に効くというのが代表例の一つ。血中のナトリウムを排出する働きがあるため、体内の塩分バランスを調整して高血圧や動脈硬化を防ぐ。
結構関心を引くのが冷却作用。やけどの応急処置にもってこいだからだ。生のまますりおろしたものを厚めに患部に塗り、上からガーゼを当てるだけ。乾いたら、新しいものと取り替えればよい。
やけどと言えば、アロエがまず思い浮かぶ。都市部に居住していれば、すぐ手に入るわけではない。バタタは身近な食材だ。
子供の肥満やコレステロールが問題視されてきた上、ダイエットがブームになり家庭料理が見直されてきている。〃おばあちゃんの知恵袋〃もまだまだ捨てたものではない。