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隠れたウイスキー大国?

グルメクラブ

2005年11月25日(金)

 「ギネスブック」を手にとった。その二〇〇六年度版が、書店の店頭で光っていた。ギラギラした鮮やかな緑色の表紙に目を奪われ、衝動的に立ち読み。
 商売柄、〈飲食〉の分野から眺める。ブラジルにあるモノで「世界一」として認定されているのを二つ発見。ゴイアバーダとポップコーン用の紙容器だ。
 五百五十五キロのゴイアバーダなんていうけどさ、ブラジルにしかないお菓子じゃ競争相手がいないじゃん。後者は南部リオ・グランデ・ド・スル州都ポルト・アレグレ市で二〇〇三年に製作されたらしい。二十五メートルだったかな。
 クライブ・ヴィディスさんのことを思い出した。以前この欄で紹介しているギネス認定の、世界一のウイスキーコレクターだ。
 もう四年前か。グルメ通の石井ロベルトさん(石井宝石店)の案内で彼の邸宅を訪ねた。収集した三千超のウイスキーのうち貴重品は、まるで博物館のような特別室に展示され、別室にパブまで設けられていた。
 「The Keepers of the Quaich」という、スコッチウイスキー界で最大の名誉である「資格」も、ヴィディスさんは所有する。対象はスコッチウイスキー、およびスコットランドの価値の向上に尽力した人物。著名人では「レーガン元大統領がいる」と言っていた。
 ブラジルにその資格所有者の集まり(支部)が結成されたのは一九八〇年代末で、ヴィディスさんの他に九人の会員がいる(二〇〇一年当時)。ちなみに、ブラジル人一号はレストラン経営のファブリツィオ・ファザーノだという。度々「グルメクラブ」にも登場するレストラン業界のドン、ファザーノ家のおとっつあんのほうだ。
 そういやーさ、彼はかつて「ウイスキー・ナショナル」の代名詞オールド・エイトを商売していたことがあったな。ま、ナショナル(国産)といっても、ブラジルのウイスキーの中身はいまもむかしも輸入品だが。わたしが知る限り、彼はブラジリアン・ブレンド、ハーフ・アンド・ハーフ=写真=なども手掛けていた。
 先日、グアルーリョス市の国際空港内レストラン、コレクションで、そんな往年のブラジルウイスキーの数々を目にした。オーナーの趣味なのだろうか、ライトアップされた棚の中に飾られていた。そのハーフ・アンド・ハーフや、メロディ、マスターズ、ロイヤル・ラベル……。ビッグ・ボスのラベルにかつ目した。会社名にサウトンとある。あの南部の大手ワインメーカーまでが扱っていたのか、もしかして。
 大半が、高度経済成長期「ブラジルの奇跡」七〇年代に誕生し、八〇年代初までに消えただろう商品だと思う。日本のサントリーが、ブラジルで通称ダルマ(オールド)を販売していた時代でもある。
 それにしてもかなりの種類の銘柄があったものだ。ウイスキーの世界一のコレクターを生んだ事実といい、ブラジルは隠れたウイスキー大国なのかも。
 昨今ウイスキー人気が下火とはいえ、ホワイトホースの売上げはブラジルが日本に次いで二番。ジョニーウォーカーの一―三位はギリシャ、アメリカ、ブラジルの順だという。

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