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更年期後の乳がんに新薬=「生き返った」=生存率伸び=転移・再発も減少

健康広場

2005年12月28日(水)

 更年期を過ぎてから乳がんに直面した女性に有効である、新たな治療法が注目を集めそうだ。がん細胞を肥大化させるとみられるホルモンをつくる酵素の活動を、医薬品の投与で抑止させるというもの。三〇%の女性の生存率が上がった上に、転移・再発率もかなり減少した。骨粗しょう症のリスクを高める恐れがあるものの、医薬品の服用でこの副作用を予防することが可能だ。乳がんはブラジル人女性の死因のトップ。新たな治療法の登場は、大きな反響を呼ぶかもしれない。

 マリアンジェラ・ガルジオーニ・ドニセさん(51)は昨年暮れ、右胸の乳首がくぼんでいると感じた。年末年始の時期であったことや、かかりつけの医師がフェリアスに入ったことなどが重なり、診断を先延ばしにした。
 がんだと分かった時、病状は複雑で胸を切除しなければならかった。「ひどく落ち込んで、夜も眠れず、泣きくれていました。もちろん、夫や子供たちが励ましてくれましたが」。
 今年三月に手術を受け、化学療法や放射線療法を続けた。病気の恐怖から救ってくれたのが新治療法だ。「死の淵から、生き返ることができました」。
 乳がんの細胞は、雌性単為生殖と結合することで肥大化。患者の六割が、この種のがんとみれている。
 雌性単為生殖は卵巣によりつくられ更年期に中断されるものの、アロマターゼという酵素の働きで女性はこのホルモンをつくり続ける。新治療法はアロマターゼの機能を医薬品によって抑えようというものだ。
 米国で九千三百六十六人を調べた研究の発表が先ごろあった。アロマターゼの活動抑止薬を使用後、転移のリスクが三九%、再発率が四〇%減少した。
 これまでの薬品治療(tamoxifero)は、雌性単為生殖とがん細胞が結合するのを防ぐものだった。問題は有効期間が五年しかないこと。女性の体内組織が薬品に免疫を持ってしまい、その後は絶えず通院しなければならない。
 PUC─RSのアントニオ・フラッソン博士は「(tamoxiferoは)効果がなくなるほかに危険な副作用がある。というのは、卵巣の壁にがんが発生するおそれがあるのです」と語り、アロマターゼの活動抑止薬に期待をかける。
 サンパウロ連邦大学のルイス・エンリッケ氏は「この新薬は更年期の女性には適したもの。更年期外の女性には有効ではないのではないか」と指摘する。
 アルベルト・アインシュタイン病院のセルジオ・シモン医師によると、骨粗しょう症のリスクを高めるという副作用がある。医薬品の服用で、骨折を予防すること可能だ。
 ドニセさんは「化学療法と放射線療法を受けた後、現在、この新薬で病気をコントロールしています。関節がとても痛くて、熱っぽく感じる。でもそんなのは、問題ではありません」と目を輝かせている。
     ◇
 ブラジル人女性の死因のトップは乳がんだ。国立がん研究所(INCA)によると、二〇〇三年に四万千六百件の新罹患者数があり、九千三百人が死亡。〇六年には四万八千九百三十人が新たにかかると予想している。

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