健康広場
2006年1月11日(水)
チェックアップが注目されたのは、一九五〇年代後半のこと。米・宇宙開発プログラムで大気圏外での飛行任務に適した人材を選ぶために、各種検査を受けさせたところ、健康そうに見えた男性の多くが失格したことがきっかけでした。自身の健康状態とその限界を知ることに関心を持っている人々に、この結果を役立てようという意識が高まっていったのです。
そして十年ほど後、チェックアップと命名されました。しかし当初は、医師自身が患者の診断に疑念を持つ時だけに実施。単なる好奇心で行うことも目立ちました。また受診者の精神面を無視。形式化したものに陥りがちでした。
一九八〇年代前半になって、四十歳以上の人に定着しました。その年代から、人体機能が衰え始めると考えられたため。たいてい何らかの異常が表れました。
医療技術の進歩と歩調を合わせる形で、チェックアップを最初に受ける適齢期が低下。今は三十歳まで下がる傾向にあります。費用も大衆的な値段になり、診断の正確率もずいぶん伸びました。
思想面も変化。多数の検査から開始せず、まず内科医が診察、患者のプロフィルに従って検査を選ぶようになりました。医師との最初の接触が重要になったわけ。人格主義チェックアップ(Check Up Personalizado)と言われています。
患者と最初の接触時に、医師は精神状態、体重、身長、聴覚、目の状態等を査定。続いて肥満度、特に腹部の脂肪に注意を向け、その後、遺伝的ことを調査します。というのは心血管の疾患を始め血栓症、がん、骨粗しょう症、糖尿病等は遺伝が重要な要因とみられているためです。
このように患者のプロフィルを綴った後、基本的な検査(エモグラム、脂肪分立、尿酸、血糖、たんぱく質、便の寄生虫、尿検査、胸部レントゲン、心電図、クレアチニン等検査)に移ります。
例えば、心筋梗塞症の検診は個人特有のもの。危険因子を持った患者、父母・祖父母がこの病気で死去している場合に実施します。若い時に、この病気が起きているほど遺伝的には重大なこと。三十歳前に発症したなら重病だと言えます。
こういう場合に集中的に行うのは脂肪像、RCR、負荷試験などの心臓または心血管の検査。最初の診察で生活習慣、食習慣、喫煙の有無、肥満度、栄養状態を調べます。
ブラジルの中産階級、特に二十・三十代の間でチェックアップは習慣化されました。現代の若者は予防学を認識、支持しているため。脂肪のような病気は、この年代での発見と治療(主に食習慣の改善)が効果的で安上がりだと感知し始めたのでしょう。
二〇〇二年度のチェックアップ受検者は二〇〇〇年と比べ、三〇%増加しました。病気の予防に投資した方が、既に発症した病気の治療に経費をかけるよりもずっと経済的。例えば心臓病の場合、チェックアップを規則的に受けると、治療費が三分の一に減るという調査も出ています。
集団的チェックアップは、多くの会社等に利用されています。従業員の健康状況を把握し、適切な予防的手段をとるほうが経費削減につながり、利益も伸びるため。喫煙者に対して会社は、呼吸機能の検査をさせたり、ニコチンの作用を減らす栄養品を与えるなどしています。企業の〃財産〃とは多産・多利益のほかに、職員の健康、欠勤日数の少なさも含まれるのではないでしょうか。