ホーム | アーカイブ | チェックアップの重要性と指針=連載(3)=援協総合診療所内科医=南利実

チェックアップの重要性と指針=連載(3)=援協総合診療所内科医=南利実

健康広場

2006年1月25日(水)

 チェックアップの出現で脚光を浴びたのは心臓学と悪性腫瘍学で、死亡率の高い分野です。心臓疾患で年間に三十万人、つまり二分間に一人が死亡。医療技術の発展に多額の投資がされてきました。しかし死亡率が減ったというには、まだ不十分な状態です。なぜでしょうか?
 医療技術が進歩する一方、生活習慣病の増加、脂肪質の多い食生活、無活動、肥満症、煙草、ストレスなど心臓疾患を起こす危険が増えたため。心筋梗塞の背後には必ず、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、運動不足、肥満症など生活習慣病があります。
 心臓外科はこの十数年間、死から人間を救うものだと医学界で注目の的になってきました。大手術での危険を下げるには、適した病院と専門医が必要になります。
 負荷心電図試験は慣習上の心電図を補助するために開発され、続いて心エコー(心臓超音波検査)が出現しました。この検査も補完的なものですが、心臓の動きをダイナミックに見せることができるのです。
 心カテテール検査は冠状動脈状態を把握し、狭窄部の状態の等級を評価します。手術で入院が必要になり、感染の危険もあるのが欠点。最新的なTCが結果として開発されました。この装置は冠状動脈壁の非常に小さな脂肪の固まりでさえ、発見可能です。
 ただ、この小さな脂肪の固まりと病気との関連は今のところまだ十分明らかになっていません。多数の心臓病専門医はこの小さな脂肪の固まりの変化を見守るため、TC検査を利用しています。その意味が解明すれば、患者の利益につながるからです。
 循環器の危険因子を追跡するため、心臓専門医は患者の理解の下、相当の出費を覚悟で最新式機器など利用しなければなりません。
 男女を問わず危険因子だとされているのは高血圧症、高脂肪、喫煙で、それに運動不足、肥満症、糖尿病も加わってきます。以下、これらの因子のいくつかを分析してみたい。
 血圧値が高いほど、循環器系病が発生しやすいのは確かなこと。少しの上昇でさえ、心血管病症の危険を増加させ、逆に血圧が二十mmHgでも下がれば、病気の発生率は低下します。したがって、血圧のコントロールは重要なわけです。
 たいてい、中年に達した時点で、循環器の問題が発生。心臓の調子が思わしくないと感じ取ります。病気の早期発見という意味で、チェックアップの意義は大きい。
 初めて臓器健康を査定するのに適した年齢は二十歳で、心臓を始め各種危険因子、血圧、血糖脂肪、家族の病歴を調べたらよいでしょう。全てが普通なら次の検査は五年後、二つ以上の危険因子があれば二年ごとに行うのが好ましい。
 高血圧を治療することで、心筋梗塞の発生を約二〇%減少させられます。国民の七・六%は糖尿病性、この中の九五%はタイプⅡであり、七〇%は心血管害で死亡しています。