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チェックアップの重要性と指針=連載(8)=援協総合診療所内科医=南利実

健康広場

2006年4月5日(水)

 たばこ症

 たばこには、心筋肉中で血液と酸素の運行を妨害し、動脈内に凝固物を導く化学物質が含まれています。さらに、血小板の粘着力を増加。血栓症が発症しやすくなります。一日に十本以上吸う人は、吸わない人より心筋梗塞の危険が三倍高い。
 たばこが原因で、国内で年間約一万二千人、世界で四百万人が死亡。長期的には二人に一人の割りになるといわれています。高血圧との合併は四倍、コレステロールとの合併は八倍、リスクが跳ね上がります。
 受動態喫煙者も、梗塞やがんになる恐れがあると分かっているので煙に身体をさらさないほうがよい。

 糖尿病

 血糖の超過は血管壁を傷つけた上、脂肪の沈着を容易にし、アテロ血栓症の初期段階となります。血糖値の適切な治療とコントロールは心筋梗塞や脳出血の危険を三分の一に減少。逆に高血圧が加わると、リスクは倍増する。
 糖尿病患者のコレステロールと中性脂肪の標準値は、低く設定すべき。網膜症を引き起し、その時に治療しなかったら失明につながる恐れがあるので、定期的に眼科医の診察を受けなければならない。

 がん
 
 がんは、チェックアップによって早期発見、早期治療が可能になった。心脈管障害に続き、世界で死亡率が大幅に下がりました。
 欧州や米国のような先進国では、八〇%程度が全治しています。ブラジルのような途上国では、六五%に留まっています。国内で年間に、約二十九万人が死亡。約十二万人が最新診断を受けています。
 約二百種類の悪性腫瘍があり、この中で際立っているのが乳がん、肺がん、胃がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がん、皮膚がんの七種。全体の約九五%を占めています。
 現代のがんに対するイメージは、五十年前と同じではありません。一九五〇─一九六〇年代は激しい苦痛に悩まされたあげく、少しずつ死に至っていたため、不吉・不治の病気だとみなされていました。それゆえ、今でもどの病気が最も恐いかとの質問に、七五%の人が「がん」と答えます。
 医学診断技術の進歩と初期診断のレベル向上でがんのイメージは大きく変化。糖尿病、高血圧のように、管理可能な病症だとみなされてほしいものです。
 がんも心脈管病のように遺伝構成が強く、最初にがん系家族の前歴について、精密に調査を行います。