ホーム | アーカイブ | 料理研究科の中南米食文化紀行=料理天国メキシコ

料理研究科の中南米食文化紀行=料理天国メキシコ

グルメクラブ

10月17日(金)

 四千種ともいわれるメニューを豊富な唐辛子や野菜、肉類で作る。アンデスが原産のトマトを用いたサルサが三、四種、薬味としてテーブルに並ぶ。
 南米の料理天国のひとつだろう。世界文化遺産に指定される古都が多く、伝統的な料理が今日に受け継がれている。
 メキシコ料理発祥の地プエブラの名物はチレ・ポブラーノ。唐辛子や香辛料で出来た味噌のようなソースだ。黒、緑など色合いはさまざま。というのも唐辛子と一口にいってもこの国では十種を下らない。なかには苦かったり甘かったりするものもあるため、ソースの味わいは複雑だ。肉を巻いたトルティージャ(とうもろこし原料の薄いパン)にかけて食べれば絶品。
 ピンク色に染まる街として知られるサカテカスではビリアをぜひお薦めする。骨回りの肉を茹で細切りにし、コンソメとトマトスープをかけていただく。
 先住民が目立つオアハカはチーズがうまい。タコスに包んで揚げたり、スープにしたり……。山間の貧しい土地で蛋白源が不足するせいか、バッタを日常的に料理する光景がみられる。
 ハリスコ州テキーラ村はご存知、蒸留酒の産地。原料のリューゼツランが村を囲むように栽培されている眺めは圧巻だ。
 アステカ時代よりこの植物の汁を自然発酵させて飲んでいた、という。スペイン人が蒸留技術を伝えテキーラが誕生した。しかしこのブランドは周辺五州でしか使えない。
 一般名はメスカル。バーで頼めばトマトジュースに塩とレモンが付いてくる。一気に口に放り込むのが流儀。メキシコ第二の都市グアダラハラではメスカルにアイスクリームを入れているのをみたが、健康飲料としても重宝しているようだ。